本記事はLongine(ロンジン)発行の2014年4月13日付アナリストレポートを転載したものです。
執筆 持丸 強志
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投資家に伝えたい3つのポイント
●消費増税実施から3か月強経ちましたが、全体的に見れば、国内新車販売は懸念されたほど悪化しておらず、増税影響は限定的だったと見ることができます。
●輸入車やレクサス車等の高級車を中心に、高価格帯モデルには増税実施後の反動減少が見られます。一方で、低価格帯モデルは予想以上に堅調に推移しています。
●こうした低価格帯モデルは、増税後の値下げ実施を期待して、3月末までの駆け込み需要が不発に終わった可能性があります。今度の自動車各社のQ1決算に何らかの影響が出ているかもしれません。
消費増税から早3か月経過、国内新車販売は?
消費増税(従来5%→8%へ)が始まって早3ヶ月以上が経過しました。国内の消費全体で見ると、増税前は「3月迄の駆け込み需要→4月以降は反動減少で停滞へ」というのがコンセンサスだったと思われますが、現状は「消費増税の影響は軽微に止まりそう」「増税後も思った程悪くない」というのが一般的な認識ではないでしょうか。中には“軽微に止まる”どころか、「消費増税の影響はなし」という評判が聞こえてくる品目も少なくありません。それでは、代表的な高級消費耐久財である自動車の販売はどうなっているのか?について、少しだけ詳しく見てみます。
増税実施前は反動減少が懸念されていたが…
日本国内では今も昔も、「自動車」は住宅に次ぐ高級消費耐久財です。そのため、消費増税の影響は決して小さくなく、駆け込み需要が終了する4月以降の販売は厳しいという見方が、増税実施前の主流だったと考えます。筆者も同様であり、第1四半期(2014年4-6月)の新車販売は▲15%減程度の落ち込みが不可避と予想していました。これは、過去の消費増税時、或いは、リーマンショック後に幾度か実施された補助金支給終了時以降の大幅な販売減少を勘案したものでした。また、先の決算発表で公表された各社の会社予想(特に上半期予想)を見ても、自動車業界が「4月以降の一過性の反動減は止むなし」と懸念していたと思われます。
全体で見れば新車販売は増税後も意外なほど堅調に推移
ところが、いざ消費増税が始まると、国内新車販売(=登録車+軽自動車の合計)は懸念した程は減少していません。具体的な数字(増減率、対前年同月比)は、以下の通りです。ちなみに、新車販売に占める構成比は、登録車57%、軽自動車43%となっています。