マット安川 今回はゲストに参議院議員・浜田和幸さんをお迎えして、マレーシア航空機撃墜の裏側や、世界の安全保障、経済情勢まで幅広くお聞きしました。

マレーシア機撃墜事件の背後に見え隠れする米国の影

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:浜田和幸/前田せいめい撮影浜田 和幸(はまだ・かずゆき)氏
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、2010年参院選にて鳥取県から立候補し当選。2011年、総務大臣政務官、外務大臣政務官兼東日本大震災復興対策推進会議メンバー、国民新党幹事長(兼代表代行)を経て、2013年3月27日の解党に伴い、現在無所属。7月24日に院内会派「新党改革・無所属の会」を結成。(撮影:前田せいめい、以下同)

浜田 今回のウクライナ上空でのマレーシア航空機の撃墜事件は、私がフランスにいた時に起こりました。オランダ人がたくさん乗っていたということで、欧州の人はすごく関心を持っていました。私も多くの人たちと情報交換をして、いろいろなことが分かりました。

 まず、日本に帰国して接する情報と、欧州の情報関係の人たちの間で議論になっている中身がぜんぜん違うということです。日本での報道を見ていると、ウクライナ東部の親ロシア派が撃ち落したのではないかということですが、それは米国が言っていることを鵜呑みにしている部分もあると思います。

 今回の事件については、その責任をロシア、または親ロ派におっかぶせるための何らかの背後の意図があったのではないかということが、欧州でもいろいろと議論になっています。

 というのも、ロシアと欧州各国の間で経済関係が深まっていることに対して、米国が必ずしも面白く思っていないという面があること。また7月15日、BRICS(新興5カ国=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)のサミットがブラジルで開かれましたが、そこでプーチン大統領や中国の習近平国家主席が発展途上国支援の「新開発銀行」の設立、しかも上海につくることで合意した。

 これは明らかにドルに対する挑戦です。世界銀行やIMF(国際通貨基金)といった国際機関が、国連を含めて、これまで米国中心でやってきた世界秩序に対して挑戦するという動きが出てきたことに対して米国は危機感を持っている。

 そういう大きな構図の中で、今回のマレーシア機の撃墜という事件が起こっているわけです。そして実際、プーチン大統領に対して責任追及の声がどんどん高くなっていて、ロシアの国際的な立場が弱くなっています。ですから、米国から出てくる情報とロシアから出てくる情報、また欧州から出てくる情報を我われもきちんと精査しなければなりません。