それよりも話題になっているのは、海上自衛隊のヘリコプター空母「いせ」である。しばしば、日本の事情を知らない軍人などは、なぜヘリコプター空母が“駆逐艦”と呼ばれているのか疑問を呈するのだが、今回「いせ」が注目されているのはそのためではなく、その係留している位置のためである。

 補給艦や病院船を除くリムパック2014に参加している水上戦闘艦の中で、数少ない全通飛行甲板を持つ“空母型”軍艦である海上自衛隊「いせ」(排水量19000トン、全長197メートル)は、アメリカ海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」(排水量101429トン、全長332.8メートル)と強襲揚陸艦「ペリリュー」(排水量39438トン、全長250メートル)に次ぐ巨艦である。日本の軍艦旗を掲げる堂々とした「いせ」は、リムパック2014に参加する各国艦艇が停泊するパールハーバー米海軍基地の入り口に係留しているのである。

パールハーバーの入り口に係留された「いせ」

 したがって、全てのリムパック参加艦艇は、基地への出入りに際しては「いせ」を目の当たりにすることになり、海上自衛隊の巨艦に感心せざるを得ない、というのがリムパック2014開会劈頭の状況である。軍人だけでなく、観光スポットである戦艦ミズーリを訪れる観光客の目にも、真正面に停泊している日本の“空母”の姿が目についてちょっとした話題となっているようである。

 もちろん「いせ」が目立とうとして最高のシートを確保したわけではなく、各国軍艦の係留位置はアメリカ海軍によって指定されたのである。これは、同盟軍である海上自衛隊とともに中国海軍を威圧しようというアメリカ海軍の粋な計らいと考えることもできる。