マレーシアのナジブ・ラザク首相(財務相兼任)は、今月9日に開催された「インベスト・マレーシア2014」の基調講演において金融部門のさらなる自由化を推進すると述べた。

マレーシア、ナジブ副首相が新首相に就任

マレーシアのナジブ・ラザク首相〔AFPBB News

 ナジブ首相の講演によれば、マレーシアの金融自由化に向けた新たな政策として、まず、2015年1月1日から信用格付けのない社債やスクーク(イスラム債)の取引規制を緩和する方針のようだ。

 その後、2017年1月1日には企業が社債を発行する際の信用格付け義務規定が撤廃される。社債市場の間口を広げ資金調達オプションの多様化を促進することが狙いだろう。

 なお、この法改正はマレーシアの証券委員会が作成した「資本市場マスタープラン(2001年-2010年)」にも織り込まれていたものだ。

 同時に信用格付会社の新規参入が自由化され、外国資本100%でも国内の信用格付けを行うことが認められる。さらに、投資信託の一種であるユニットトラストの運用会社も完全自由化され、外資100%も認められるそうだ。

政府が目指す「高品質経済」と国際的に高まるビジネス環境評価

 ナジブ首相は「インベスト・マレーシア2014」の基調講演において、マレーシアは単なる「高所得国家」を目指すのではなく「高品質経済国家」を目指していると述べている。金融自由化の新政策は、その一貫なのだろう。

 確かに、近年、マレーシアは経済・金融・投資分野に関連する各種世界ランキングで上位にランクインするようになっている。

 例えば、世界銀行のビジネス環境に関する『Doing Business 2014』(2013年10月)の最新リポートでは、マレーシアは189カ国・地域の中で第6位(前年: 第18位)であった。ちなみに日本は第27位で、首位はシンガポール、第2位が香港、第3位がニュージーランドであった。

 マレーシアの評価項目別ランキングを見ると、起業: 第16位、建設工事認可: 第43位、電力: 第21位、不動産登録: 第35位、資金調達: 第1位、投資家保護: 第4位、税制: 第36位、貿易: 第5位、契約執行: 第30位、破綻処理: 第42位だ。

 中でも金融環境に関連する「資金調達」の評価項目では第1位と突出した高好評となっており、2008年から連続首位の座を保っている。ちなみに、この指標の評価基準では、担保と破産に関する法制度、貸し出しや貸し手と借り手の権利保護、そして信用情報制度の整備状況などが鍵となっている。