今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(6月8日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、外国人労働者や移民の受け入れ問題について取り上げたほか、死刑廃止論や北朝鮮の拉致問題再調査などについて語った。
減少する日本の労働人口を何で補うのか
中山 JBpressが「日本の人口動態:信じ難いほど縮みゆく国」という英エコノミスト誌の記事で、日本で初めて移民に関する本格的な議論が始まっていると伝えています。
あるシンクタンクによると、向こう30年余りの間におよそ1000の地方の市町村で出産適齢期の女性がほとんどいなくなると予想。政府は、今後50年間で現在1億2700万人の日本の人口が3分の2に減少し、2110年には日本人の数がわずか4300万人になると予測しているとのことです。
同記事は、最大の問題は急速に収縮する労働人口が増え続ける高齢者人口を支えられなくなることだと指摘し、政府が2月に2015年以降、新たに年間20万人の永住移民を受け入れるよう推奨する報告書を発表したことに言及。安倍政権は日本がこれまで避けてきた大規模な移民の受け入れを検討し始めたと述べています。
記事を補足すると、この報告書というのは政府といっても安倍(晋三)首相サイドが発表したものではなく、内閣府・経済財政諮問会議の専門調査会を中心に議論を進め、年内に報告書をまとめる方針となっているものです。
この専門調査会の中で、労働人口の減少への対応についていくつかの例が挙げられていますが、専門調査会の会見後にその中の「20万人の永住移民受け入れ」という点がソーシャルメディアなどで拡散されました。
しかし、翌日の記者会見で菅(義偉)官房長官は「政府としてそれを決定した事実はない」と否定しています。
菅官房長官が会見で述べた通り、この件に関して現時点で政府ではまだ何も具体的な中身が決まっていません。安倍首相自身も「そう簡単に移民受け入れを決めるべきではない」と、慎重な姿勢を示しています。
もともと移民受け入れ構想が急浮上した理由は、建設業界の一部から政府に「外国人労働者を入れてほしい」という要望が届いたことが背景にあります。
日本には「外国人技能実習制度」というものがあります。これは諸外国の労働者を一定期間受け入れて日本語と技能を修得してもらう制度で、実習生は技能修得後、母国に帰って修得した能力を発揮して生産性の向上に貢献することを目指します。
人手不足が深刻化する建設業界では、こうした外国人を一定期間活用できるよう求める声が一部から出ているのが事実です。