東南アジア諸国連合(ASEAN)が2015年に発足を目指す、単一市場・生産基地からなるASEAN経済共同体(AEC)。
ASEAN域内の「ヒト・モノ・カネ」の流れを自由化・円滑化することで、域内を人口6億人を超える1つの巨大市場として機能させようという野心的な取り組みである。
その発足目標期限を目の前に、ASEANの姿勢にも変化が見え始めている。
今年5月10日にミャンマーの首都ネピドーで開かれたASEAN外相会議において、中国とベトナムとの間で緊張が高まっている南シナ海問題について「現状に深刻な懸念を表明」する異例の共同声明が発表された。
2012年夏、同問題に対して当時のASEAN議長国カンボジアを含む消極派との調整がつかず、共同声明が発表できない事態にいたった同外相会議とは対照的だ。
地域連合としての求心力を高めるため、強硬な中国に対して一致団結して行動する姿勢をアピールする形を取ったASEAN。当時に比べての団結強化ぶりを、AEC発足に向けたASEANの本気度の証しと捉える向きも多い。
先月勃発したタイのクーデターも含め、ASEAN周辺のマクロな国際政治状況は混沌とした様相を呈しているが、確実に見込まれるAEC発足とASEAN活性化を視野に入れたミクロな企業活動は、先行する民間企業によって着々と進められている。
カンボジアで高度なIT系開発業務を展開できる理由
前回の記事後段で、「ヒト・モノ・カネ」の自由化・円滑化の流れの中でまずヒトの流れについて先行してASEANとの取り組みを開始している日本のIT企業、ヘッドウォータースをご紹介した。
筆者もカンボジア側の共同事業パートナーとしてサポートしているヘッドウォータースの取り組みを少し詳細に眺めてみたい。
ヘッドウォータースがASEAN加盟国カンボジアを拠点として取り組んでいるのは、日本から見てインバウンド・アウトバンド双方の流れを取り込んだIT人材の活用である。