本記事は5月19日付フィスコ企業調査レポート(トライステージ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲
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新サービスで既存事業を再成長へ
トライステージ<2178>は、テレビ通販事業者などダイレクトマーケティングを実施する企業に対して、メディア枠の販売から、「売れる商品」つくりのための番組制作、受注管理、物流・決済・顧客管理等の提案に至るまで、ダイレクトマーケティングに関する総合的な支援サービスを提供している。
2014年3月31日付で発表された2014年2月期の連結業績は、売上高が前期比6.5%増、営業利益が同56.1%増の増収増益決算となった。売上高は2012年11月に子会社化したメールカスタマーセンター(以下MCC)の売上がフル寄与した効果で増収に、営業利益は前期に計上した貸倒引当金が大幅に減少したこと、収益性の低い取引を見直したことなどにより増益となった。ただ、主力のダイレクトマーケティング支援事業に関しては減収傾向が続いており、本格的な回復軌道はこれからだろう。
同社ではダイレクトマーケティング支援事業の再成長を図るため、新たに「マーケティング予算配分最適化サービス」を2014年4月より開始した。同サービスは顧客企業の各メディア(テレビ、WEB、新聞、雑誌など)を使ったマーケティング施策がWEBでの受注(売上高)にどう影響しているかを可視化し、そのデータを元に、各メディアを最適な配分にすることでマーケティングに関する投資対効果(ROI)の全体最適化を実現する、業界でも初のサービスとなる。先行して行った実験ではマーケティング費用のうちテレビ向けの配分比率を引き上げることで、WEBでの受注が平均して30%程度アップし売上が拡大する効果が確認されており、同サービスの導入が顧客企業だけでなく同社の売上回復にもつながるものとして注目されよう。
2015年2月期の業績においては、上期までは低迷が続くものの、同サービスの導入効果が顕在化する第3四半期(2014年9月-11月期)以降は売上高も回復に転じる見通しで、商品力強化やコスト適正化も同時に進めていくことで、通期での増収増益を見込んでいる。今後の成長戦略としては、既存事業の再成長に加えてWEBへの進出、CRM(顧客管理)ビジネスの強化、海外への展開などを掲げている。また、注目する経営指標として今後はROE(株主資本利益率)を意識した経営を行っていく方針で、現在潤沢にある手元資金の有効活用を図るため、M&Aも前向きに検討していく考えだ。
Check Point
●採算見直しで2ケタ増益、ダイレクトマーケティング支援事業の回復は途上
●新サービスは顧客のマーケティング予算を最適化、同社への出稿増を図る
●中期経営計画を見直し、既存事業の再成長を新戦略に掲げる
事業概要と市場環境
テレビ通販事業者に総合的なマーケティング支援サービスを提供
(1)事業概要
同社の事業は「ダイレクトマーケティング支援事業」と「ダイレクトメール発送代行事業」の2つのセグメントで構成されている。このうち「ダイレクトメール発送代行事業」は2012年11月に子会社化(出資比率86.8%)したMCCの事業となる。2014年2月期における事業別構成比では、「ダイレクトマーケティング事業」が売上高で78%、営業利益で103%を占めており、同社事業の中心となっている。