新潟市の大量生産特区の話を続けます。前回は大量生産特区にふさわしい試みについて書きましたが、新潟市が試みようとしていることの1つに6次産業化があります。
米どころとして知られる新潟のことですから、素材となる農作物がコメになるのはほぼ確実でしょう。コメを使った加工食品は、昔からあるものなら米菓や清酒、最近なら米粉パンなど、多種多様です。変わったところでは米ぬかを使った化粧品や塗料などもあります。
特区として何か新しいコメを使った商品、それも新潟の地域性や強みを生かした商品は何が考えられるでしょうか?
ウォッカ作りが新潟に適している5つの理由
筆者が注目するのは、酒です。中でもウォッカに注目します。
筆者がウオッカに注目する理由は簡単で、第1にロシアのみならず、アメリカでも大量に飲まれている酒であること。今回調べて驚いたのですが、ウォッカの最大の生産国・消費国はアメリカで、カクテルに多用されています。
第2に、世界的に見てもコメのウォッカはほとんどないからです。ウォッカは、もともとがロシアや東欧、スカンジナビア半島といった寒い地域で飲まれている酒であるため、麦やジャガイモなど冷涼地で育つ作物が素材として使われてきました。温暖な地域が原産のコメで作ることなど歴史的に考えられなかったと言ってもいいかもしれません。
なるほど、コメでウォッカを作るアイデアは分かった。しかしなぜ新潟なのかというと、日本の他地域と比べて、以下の優位性があるからです。
第3に、新潟県は日本有数の酒米生産地でもあること。新潟というと、コシヒカリばかり作っているイメージがあります。この認識は間違っていませんが、コシヒカリの作付けは現在7割程度で、減少傾向にあります。代わりにポスト・コシヒカリを狙って開発されたとおぼしき「こしいぶき」という品種が増えてきています。こうした飯米と比べて、酒米は全体の2%程度の作付けしかありません。