学食。その言葉を聞いてどんなイメージを抱くだろうか。一昔前の筆者の学生時代には、「肉料理中心で、安いのにお腹がいっぱいになる」メニューが多かった。しかし、現代の学食は一味も二味も違う。様々な付加価値を持った学食が登場しているのだ。現代の学食事情を見ていくと、大学が直面している課題も見えてくる。
味は本格的、でも値段は学生目線
学食に加えられた価値としてまず上がるのが「高級化・本格化」だ。
東京都文京区にある東洋大学・白山キャンパスでは、インド人シェフによる本格的なインドカレーがドリンク、サラダ付きで500円で食べられる。注文を受けてから焼き上げる熱々のナンとスパイスを使ったカレーは学生に人気だ。
同大学には、すき焼き、しゃぶしゃぶで有名な「スエヒロ」が手がける店まであり、うどんやカレーなどの定番メニューのほか、ステーキまで食べられるという。
このような学食を提供するのは東洋大学だけではない。目黒区にある東京大学駒場キャンパスには、本格的なフレンチレストランが登場。ランチの日替わりワンプレートは800円で、メインを肉・魚から選ぶことができる。リーズナブルな価格だけでなく、本格的な味わいが好評を呼び、学生だけでなく近隣住民からの利用も多いという。
ハラール食やベジタリアン食で国際化対応
学食の進化は高級化や本格化だけにとどまらない。
新宿区の早稲田大学大隈ガーデンハウスでは、イスラムの学生向けの「ハラール食」を提供している。ハラール食とは、イスラム教で認められた食材を、イスラム教の教えに沿った方法で調理した料理のこと。禁忌である豚肉を使わないのはもちろん、他の料理で使用した包丁や鍋でハラール食を調理することもできないため、ハラール専用の調理器具を用意しなくてはならない。