「お客様に喜んでいただくために、お客様の期待に応えよう!」

 「お客様の潜在ニーズを見つけろ!」

 そんなことは百も承知。だけど、お客様ごとに期待は様々で、明日から何を頑張ったら良いのか全然分からない。100人100通りの期待に応えろと言われても、「がむしゃらに頑張れ!」と精神論を言われているようにしか思えない──。

 「どうすればお客様に喜んでもらえるか」を一生懸命考えているけど、なかなか喜んでいただけなかったり、受注やリピーター獲得などの成果に繋がらずに苦労しているという方は多いのではないでしょうか。

 また、こういったことは、言われなくてもできるスタッフもいれば、何度言われてもできないスタッフもいます。どうしたら組織的に営業強化やサービス向上ができるものかとお悩みの企業も多いようです。

 そこで今回は、お客様の期待とは一体どんな構造をしていて、それに応えるためにどんな努力をすべきかについて、サービスサイエンスの視点で明らかにしてみたいと思います。

事前期待を把握することの重要性

 お客様が営業マンと会う前や、サービスを利用する前に持っている期待感のことを「事前期待」と呼んでいます。この事前期待を把握することで、我々が何をすべきかが見えてきます。

 しかし、事前期待と一言で言っても、お客様ごとに異なるので、どの事前期待に応えたら良いものかと困ってしまいます。そもそもそれ以前に、営業やサービス提供者が、お客様にとって重要な事前期待に気づいていないことがよくあります。