米フェイスブックは3月25日に、バーチャルリアリティー(仮想現実)の技術を手がける米国の新興企業、オキュラスVR(Oculus VR)を買収することで合意に達したと発表した。
Instagramを上回る、過去2番目の大型買収
買収金額は約20億ドル。買収は約16億ドル相当のフェイスブック株と4億ドルの現金で行う。また買収契約にはアーンアウト条項が含まれており、フェイスブックは業績に応じて3億ドルを現金と株式でオキュラスVRに支払う。
オキュラスVRの創業は2012年。本社は米カリフォルニア州のアーバインで、創業者は南カリフォルニア大学の研究機関に籍を置いていた弱冠21歳のパーマ・ラッキー氏という人物。
今回の買収額は、先月買収を決めた米ワッツアップ(WhatsApp)の190億ドルと比べると規模は小さい。だが、一昨年に買収した写真共有アプリ「インスタグラム(Instagram)」の2倍以上で、同社にとって過去2番目の大型買収となる。
そして、今回注目されているのが、買収対象がハードウエアメーカーであり、これまでのようにモバイルアプリの企業ではないという点だ。
とりわけバーチャルリアリティーという分野は、フェイスブックのソーシャルメディア事業とは大きく異なる。はたしてマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は何を狙っているのだろうかなどと言われている。
仮想現実ゲーム用のヘッドマウントディスプレイ
オキュラスVRの製品は、仮想現実のゲームなどで使われるヘッドマウントディスプレイ(HMD)「オキュラスリフト(Oculus Rift)」。
先頃ソニー・コンピュータエンタテインメントが発表した「プロジェクトモーフィアス」と同様、頭にかぶり目を覆って使うディスプレイシステムだ。これをパソコンに接続し、ゲームなどの対応ソフトを立ち上げると、目の前に臨場感のある立体映像が広がるという仕組みである。
フェイスブックは今回の買収について、「ゲーム分野におけるオキュラスVRの強みを、通信、メディア、エンターテインメント、教育などの新たな特定分野に広げていく」と述べている。「仮想現実技術は幅広い分野で可能性があり、次世代のソーシャル/通信プラットフォームの有力候補」なのだという。