1 初めに

 最近、とみに中国および韓国による対日歴史認識批判が繰り返される。さらには、彼らは、国際社会に日本の歴史認識が誤っていると思わせるべく執拗な広報宣伝を行っている。

 賢明なる国際社会は誤解することはあるまいと高をくくっていてよいのだろうか?

 なぜ日本だけが言われなき批判を甘受しなければならないのかというのが偽らざる国民の心情でもある。

 本稿では、中国や韓国の最近の対日歴史認識批判を概観し、段々とエスカレートする日・中・韓の歴史認識に関するわだかまりの背景に迫り、歴史共同研究の実態を検し、歴史認識が克服できるのかどうかを考察し、できるとすればいかにして歴史認識のギャップを克服するかについて検討する。

2 現状(詳細は割愛し、項目のみ列挙する

(1)中国の対日批判

 ア 抗日記念館など(南京大虐殺記念館:1985、中国人民抗日戦争記念館:1987)
イ 対日歴史キャンペーンの大々的展開(抗日ドラマ、内外のメディアへの投稿など)
ウ 記念日の正式採択「抗日戦争勝利記念日」(9月3日)「国家哀悼日」(12月13日)
エ 国連総会・安保理その他での演説
オ 反日デモや暴動の黙認・煽動
カ 愛国無罪や反日・侮日無罪論の許容
キ 歴史教育の徹底
ク 戦時賠償請求権問題の再燃か?(2014/2/27)
ケ “日本は戦後秩序への重大な挑戦をしている”との新しい切り口での批判を開始

(2)韓国の日本の歴史認識批判など

 ア 朴槿恵大統領の告げ口外交、安保理演説、講演・式典での談話など
イ 慰安婦像設置に関する韓国系住民の運動の結実(本国政府の関与?)
ウ 安重根記念碑設置要望(韓国→中国) 中韓連携の模索?
エ 韓国司法の政治的判決(徴用工、請求権問題、仏像返還問題?)
オ 反日歴史教育の徹底
カ 旭日旗消滅キャンペーン
キ 日本海呼称問題などあらゆることに歴史認識を絡める動き
ク 3月下旬の核セキュリティサミットに合わせた日・米・韓首脳会談に難色(2014/3/12)

(3)米国の動向

 ア 米政府の安倍首相の靖国神社参拝失望発言(2013/12/26)
イ 知日派、メディアの歴史認識に対する懸念の表明など
ウ 米議会調査局報告書(2014/2/26) 安倍首相の歴史観に懸念?