米国の市場調査会社がまとめた最新のリポートによると、今年のスマートフォンの年間出荷台数は世界全体で約12億台になり、昨年の実績から19.3%増加する見通しだという。昨年のスマートフォン世界出荷台数は、前年比39.2%増と高い伸びで推移し、初めて10億台の大台を突破した。
だが、北米や欧州、日本などの成熟市場では普及率が飽和状態に近づき、今後は高成長が見込めないという。世界出荷台数の前年比伸び率は2017年に8.3%、2018年に6.2%に低下するとIDCは予測している。
低価格端末が世界市場を牽引していく
IDCで携帯電話市場の調査を担当するライアン・レイス氏によると、2014年はスマートフォン市場の様相が大きく変わる年。
かつてない水準で成長鈍化が進むだけでなく、普及の原動力も変わるという。「高価格端末が市場成長の主原動力にはならない新興国が、世界市場を牽引していく」と同氏は述べている。
例えば、成熟市場の成長鈍化に伴って、メーカー各社は新たな市場に活路を見いだそうとする。これにより、販売価格が急速に低下するという。昨年は150ドル未満の端末の出荷台数が全体の3割強に当たる3億2250万台となった。低価格端末は今後ますます増加すると同社は予測している。
同社によると、昨年のスマートフォンの平均販売価格は335ドルだった。これが2018年には260ドルにまで低下し、メーカーは利益を出すのが困難になるとしている。
現在スペインのバルセロナで開催されているモバイル関連の国際イベント「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2014」では、新興国市場に向けた低価格端末が数多く発表されているが、その中にはわずか25ドルという中国メーカーの製品もある。
成長性という点で見ると、すでに地域間で力関係に変化が生じているが、新興国市場では価格という点で力関係が変化しているという。「すべてのメーカーがこうした低価格端末の市場に参入したいと考えているわけではないが、この市場を選ぶメーカーは、慎重に戦略を練る必要がある」とIDCは指摘している。
アンドロイドのシェア、ほぼ8割を維持
これに先立ちIDCが公表していた昨年の出荷台数のOS(基本ソフト)別シェアは、米グーグルの「アンドロイド」が78.6%で最も高く、この後、米アップル「iOS」の15.2%、米マイクロソフト「ウィンドウズフォン」の3.3%、カナダブラックベリーの1.9%と続いた。