乾杯の飲み物として、日本に定着し続けてきたビール。しかし近年は「若者のビール離れ」について取り上げられることも多い。ホットペッパーグルメリサーチセンターによると、20~22歳の学生が飲み会でよく飲むのは「チューハイ・サワー・カクテル」が7割でトップ。「ビール類」は4割だった。
しかし一方で、学生と社会人1年目の40%以上は「今後、もっとビール類を飲めるようになりたい」という意向を持っている。果たしてこのギャップはどこから生まれるのだろうか。そこには近年の消費行動の特徴が深く関わっている。
ほかのドリンクにはないビールの特殊性
ビールの最大の魅力といえば苦みだ。最初は美味しさを感じなかったが、次第にその苦みがクセになったという人も多いだろう。
例えば、冒頭の調査で学生に初めて飲んだビールの印象を聞いたところ、「美味しかった」と答えたのは全体の15.6%。しかし、その学生に現在のビールの印象を聞くと、「美味しい」と答えた学生が42.1%に増えた。またビールの味覚について、「美味しくない→美味しい」と変化した学生・社会人にその理由を聞くと、「慣れ・飲む回数が増えた・いつの間にか」という回答が半数近くに上ったという。
リクルートライフスタイル事業創造部 研究員 青木里美氏は、ここにビールの特徴があるという。
「ビールは飲み慣れて、いつの間にか美味しく感じるケースが多い飲み物。本当のビールの味を楽しめるまでに、慣れる期間が必要になります。そのため、『ビールを飲みたい』と思っている若者はたくさんいるのですが、近年は慣れるほどまでには頻度高くビールを飲む機会を設けられないため、その前の段階でビールを飲まなくなってしまうケースが多いんですね。それがギャップを生むのだと思います」