マット安川 ゲストに評論家・西村幸祐さんを迎え、メディアの問題や安倍政権の今後の展望などをお聞きしました。

安倍首相は施政方針演説で憲法に触れるべきだった

西村 幸祐(にしむら・こうゆう)氏
ジャーナリスト、作家。音楽雑誌編集などを経て、主にスポーツをテーマに作家、ジャーナリストとしての活動を開始。2002年の日韓ワールドカップ取材以降は拉致問題や歴史問題などに関する執筆活動を行い、2011年4月『JAPANISM』を創刊。『幻の黄金時代 オンリーイエスタデイ'80s』(祥伝社刊)など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

西村 安倍政権が成立して1年が過ぎました。100点満点というわけにはいきませんが、まずまずだったと思います。少なくとも外交に関してはほぼ100点でした。今までの総理大臣と比べると、何より外遊の数が全然違います。

 彼はおととしの12月、安倍政権が誕生した翌日に、チェコの言論プラットフォーム、プロジェクト・シンジケートのウェブサイトに英語の論文を発表しました。タイトルは「アジアの民主的安全保障ダイアモンド」というんですけど、そこに書いた通りに1年間駆け抜けたんです。

 海外で発表した論文通りに動いたというのはちょっとすごいことでね、日本の総理大臣にこんな人はいませんでした。去年の暮れにはASEANの会議を東京でやったでしょ。あれもすごいことです。

 ただ注文もつけたいと思います。それは通常国会の施政方針演説の内容が、あまりにも現実的な部分、経済的なことに絞られ過ぎていたことです。もうちょっと日本をどう変えていきたいのかという安倍哲学を語ってほしかった。特に憲法についてですね。

 憲法改正については去年の12月にもはっきり言ってますから、もちろん考えてるとは思いますが、施政方針演説でそれをバシッと入れてほしかったと思います。

冷戦時代、日本の政治家にも新聞記者にもソ連のスパイがいた

 去年、特定秘密保護法案が審議されたとき、衆議院に参考人として呼ばれて意見陳述をしました。そのときに言ったのは、まず国家機密を守ることがいかに大切かです。

 上海の領事館員が自殺するという出来事がありました。ハニートラップにひっかかって脅されたあげく、どうしても国は売れないという遺書を残して自殺した。特定秘密保護法はこういう悲劇を防ぐためにも必要な法律なんです。