ニッケイ新聞 2014年1月14日
年末の宝くじメガ・セナ・ダ・ヴィラーダは4組の当選者が出、各当選者が5600万レアルずつを受け取ったが、バイア州にある人口2万2000人の小さな町テオフィランジアでは、当選者達が夜逃げなどで次々に姿を消すなどの異変が起きている。
この町の当選くじは、市立病院に勤める職員ら22人が共同で賭けたもので、各々が受け取る賞金は、10レアル払った人なら430万レアル、5レアル払った人なら210万レアルだった。そして一夜にして百万長者となった人達が、携帯電話の番号を変えて、夜逃げ同然に引越すという事態が起きている。
当選した職員がいる市立病院では、職員の数が減り、その後釜にと職を求めて市役所に駆け込む人も多いが、テオフィランジアの病院職員の中には、近くの町の商人が、皆が百万長者になったかのごとく考え、売り込み攻勢をかけてくる事に辟易している人もいる。
一方、このところの人の動きがそれまでの倍以上になったのは宝くじを売るロッテリカだ。売り込み攻勢に辟易している職員の一人のクリスチアノ・コルデイロさんも、8日にロッテリカに押しかけた一人だ。
テオフィランジアの人達も“雷は同じ所には落ちない”(日本語の“柳の下の泥鰌(どじょう)”と同意)という言葉を知っているが、「あの人達に良くしてくれた神様が自分達にも良くしてくれるかも」という思いを持っているのは誰も同じで、37歳のマリア・ジョゼ・サントスさんのように初めてくじを買いに来る人も増えている。
年間の税収が宝くじの賞金以下の4000万レアルで、住民の42%は一人当たりの月収が140レアル以下の貧困者という町にとって、宝くじの当選者が出て起業家などが出てくれば、雇用増加にも繋がるなど、個人や市のレベルでの夢や期待が広がる。そういう意味でも、今回の当選者達が戻ってきてくれる事を願う人達も数多い。
当選者22人の中で正式に辞職を願い出たのは1人だけで、年末までの雇用契約だった人が4人。休暇中が3人で様々な理由で休職した人が6人。8人は現在、何も仕事をしていないという。
市役所は市立病院の職員の不足を補うため、臨時職員を雇ったり、保健所の職員を病院に配置転換するなどの対策を採っているが、姿を消した当選者達の中には、友人や知人からは連絡を取る事さえ出来なくなった人もおり、町の様相は大きく変わったようだ。
(10日付フォーリャ紙より)
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