1月15日、100年以上の歴史を持つ米国の老舗大手デパート、J.C.ペニーが、国内33店舗の閉鎖と2000人の人員削減することを発表した。

 多くの中堅デパートが苦戦している環境で、デパートのリストラのニュースはさほど驚くべきものではない。だが、そのデパートがJ.C.ペニーであったことが、業界の大きな注目を集めた。なぜならJ.C.ペニーの転落は、2年前に当時鳴り物入りでアップル社から引き抜かれた新社長が消費者行動を見誤って下したたった1つの判断から始まり、それが命取りとなったからだ。

2割、3割引きではもう満足できない

 どのように見誤ったかを説明する前に、まずは現在の米国消費者がどのように買い物するかの例を紹介しよう。

 ネット上で買い物ができるようになって一番変わったのは、誰もが定価で物を買うことに躊躇するようになったことだ。

 Eコマースが発達する前は、11月末の「ブラックフライデー」と呼ばれる感謝祭翌日の金曜日にクリスマスに向けての大セールが始まり、人々はこの時期を狙って買い物をした。

 ブラックフライデーには、朝6時に開店する店やデパートが多い。毎年、早朝の開店と同時になだれ込むようにして入ってくる買い物客の様子が、よくニュースで取り上げられていた。