バンクーバー新報 2013年12月19日第51号
カナダ政府は10日、北極とサンタクロースはカナダが守ると国会で誓った。連邦政府は前日、ジョン・ベアード外相が記者会見で北極の支配権を主張すると発表。「カナダ政府は政府高官と研究者にさらなる研究を指示した。これは北極圏での大陸棚の延長先がカナダの領土であるという主張を確かなものにするためで、この中には北極点も含まれる」と語った。
地理的に言えば、北極点はヌナブト準州アラートから817キロにあり、アラートはカナダ軍が常駐している世界最北端の軍事基地でもあり、カナダ環境省も拠点を置いている。カナダは国連委員会に大陸棚の延長について科学的な根拠を説明。そこには大西洋と北極圏の海底についての主張を盛り込んでいる。
ただ、カナダが提出した大西洋の科学的研究についてはすでに完成しているが、北極圏については予備的な情報に留まっている。以前から北極圏の大陸棚については研究を進めるとカナダ政府は主張していたが、その成果はあまり上がっていない。
このカナダの動きに対して、10日ロシアのプーチン大統領は北極圏の警備を強化するようロシア軍に命じたと報道された。ロシアは2007年北極点の海底にロシア国旗を立て、ロシア領土であると主張したこともある。これにカナダが猛反発し、国旗の撤去を要求。その後、北方のカナダ軍基地を強化としたという経緯がある。
北極圏の海底には、大量の天然ガスや石油が埋蔵されているとの調査結果がある。アメリカの調査では天然ガスで世界未発掘総量の30パーセント、石油で同15パーセントが眠っているとされている。
そのため、北極圏を取り巻く5カ国、カナダ、ロシア、アメリカ、デンマーク(グリーンランド)、ノルウェイが、海底調査を行い、大陸棚の方向により北極圏が自国であるとの主張を続けている。
今回のカナダの主張には、北極圏だけでなく北極点もカナダの一部として含まれている。そうした主張を受け、カナダがサンタクロースを守るとの国会答弁になったようだ。
保守党によればサンタクロースはカナダ市民権所有者だという。自由党ジャスティン・トルドー党首も「みんなサンタクロースがカナダ人だということは知っている」と述べ、カナダの子どもたちがサンタへの手紙を送る住所は、カナダのノース・ポールだと応じた。
子供たちの夢を乗せたサンタクロースが住むノース・ポールは、政治的思惑が交錯する大人にとっても魅惑の地であるようだ。
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