いきなりのショッキングなタイトルにびっくりした人もいるかもしれない。

 これは、高齢者を姥捨山のようにぞんざいに扱うような話ではない。高齢者だけでなく、若い読者の人々も自分の問題として将来直面する大問題なのだ。

3大死因に変化が起きた

 2011(平成23)年人口動態統計月報年計(概数)の概況より、日本人の3大死因の1つに「肺炎」がランクインした。

主な死因別死亡数の割合(2011年)
出典:厚生労働省・平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況よりグラフ化

 まだ現役の労働者世代ではピンとこないかもしれない。食べたものが誤って気管支や肺に入り、それが細菌感染の温床となってやがて肺炎の悪化で死に至らせる。それを「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」と言う。

 なんだ、咳をしたり、痰で吐き出せばいいんじゃないか、と思うかもしれないが、それができなくなるのが「老い」の恐ろしいところである。筋肉の働きが弱まってきたら、そんな「吐き出す」という行為さえ困難を極める。ましてや寝たきりや会話もままならないともなれば、喉や気管支に詰まらせたことを訴えることも伝えることも難しい。

 消化を助けるためによく噛んで、そして飲み込むという食事行為そのものが、老いとともに難しくなっていく。これを「咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)困難」と言う。