20XX年、近未来の日本。突如何者かによって、日本の人口総数に匹敵する1億個の地雷が国中に埋められた。主人公は位置連動機能を利用しながら日本各地に埋められた地雷を除去し、謎の真相に迫っていく・・・。

 日本のIT企業ユビキタスエンターテインメント社(UEI社)が、電通との協業のもと、今年3月18日に配信を開始したインターネットゲーム「de_mine(デマイン)」の舞台設定である。

 UEI社プレスリリースによれば、このゲームは様々な社会問題の解決に“ゲームの力”を活用する開発プロジェクトの第1弾であり、最初のテーマに選ばれたのはカンボジアの地雷問題であった。

筆者が経営するJCGroupの稲作農場(カンボジア、バッタンバン州)で2012年8月に行った地雷調査・除去作業(本農場は230ヘクタール)。地方の広大な農地での業務を行うにあたり、地雷の脅威は今でも現実的な問題だ(写真提供:筆者、以下同)

 UEI社いわく「地雷除去ドネーション(寄付)ゲーム」と命名したこのゲームの特色は、インターネット上でのゲームの“盛り上がり”度合いに応じて、実際にカンボジア地雷除去活動への支援金が寄付として届くことだ。

 具体的には、総プレイヤー数×1円相当の金額が、寄付金としてUEI社を通じて認定特定非営利活動法人「日本地雷処理を支援する会」(Japan Mine Action Service、JMAS)に送られ、JMASによるカンボジア現地での地雷・不発弾撤去処理活動原資に充てられる。

 バーチャルの世界で完結する従来型ネットゲームとは一線を画し、プレイヤーとリアルな現実社会とを橋渡し的につなぐ、新たなゲームの役割。

 カンボジアを舞台にしたこの類の取り組みは、この事例にとどまることなく、さらに少しずつ進化を遂げながら、次第に広がりつつあるようだ。

カンボジアの子供向け絵画教室をヒントにソーシャルゲームを開発

 カンボジア北部シェムリアップ州の州都シェムリアップ。 世界文化遺産アンコールワットをはじめ、数あるアンコール遺跡群を擁する、カンボジアを代表する観光拠点となる町である。

 町の中心地にある歓楽街に隣接し、地元住民向けの生鮮食品店から観光客向けの土産店までが並び賑わうオールドマーケット(市場)から、町の目抜き通りであるシヴォタ通りを北上、アンコールワットに向かう手前の国道を右へ車を走らせる。

 アンコールトムなどの有名アンコール遺跡群を遠目に、シェムリアップ近郊に入ると、周辺はすぐに木々と田園が広がるカンボジア原風景へと移り変わる。