塩川正十郎財務相(当時)の「離れでスキ焼き」発言がきっかけとなり、特会改革に乗り出した小泉政権に対抗しようと、民主党の決算行政監視調査会が取りまとめたものだ。調査会の会長が直嶋正行氏(現経済産業相)だったため、党内でこう名付けられて改革案のたたき台となった。
直嶋プランは、当時31あった特会のうち29を統廃合した上で、最終的に国債整理基金、外国為替資金、交付税及び譲与税配付金の3つにまで減らすというドラスティックな内容だった。
例えば、道路整備など公共事業関係の特会は全廃して一般会計に統合。このほか、労働保険や厚生年金など社会保険関係も全て廃止して一般会計に統合するか、新設する公法人に移管するとしていた。
その上で、直嶋プランは各特会が貯め込んでいた積立金を取り崩し、あるいは剰余金を活用して国債残高の33兆円圧縮を打ち出した。一方、小泉政権の改革案は特会を17に削減して国債残高の20兆円圧縮を目指していたから、財政健全化への貢献を考えれば計画上は民主党案の方が大胆だった。
財政投融資、労働保険、年金、エネルギーが一転して「存続」に
2010年4月21日、民主党の検証チームは「マニフェスト2010への提言」と題する中間報告をまとめ、地域主権・規制改革研究会(玄葉光一郎会長)に提出した。
マニフェスト2010への提言(特別会計改革の部分)
特別会計制度は国の財政状況をわかりにくくし、また各省庁の「隠れた財布」となって、巨額のムダづかいの温床になっています。このムダづかいをとめるために、特別会計をゼロベースで見直します。
●財政民主主義の観点から財政の一覧性・一元化をはかり国の収支を明確にします。
●特別会計は原則廃止し、存続する事業は「事業仕分け」の手法で一般会計、地方、民間など仕分を行います。
●特別会計の見直しで生ずる「埋蔵金」は一般会計に統合し、国の借金返済にあてるなど財政健全化に努めます。
出所:民主党
全体的に抽象的な内容ではあるが、特会を「原則廃止」と明記した点が最大のポイントだ。同時に非公式ながら、特会の新たな統廃合案もまとめている。
民主党の特会統廃合案(カッコ内は直嶋プラン)
- 地震再保険
- 廃止(廃止)
- 財政投融資
- 存続(廃止)
- 外国為替資金
- 検討中(存続)
- 国債整理基金
- 存続(存続)
- 社会資本整備事業
- 廃止(廃止)
- 自動車安全
- 廃止(廃止)
- 労働保険
- 存続(廃止)
- 年金
- 存続(廃止)
- 国有林野事業
- 廃止(廃止)
- 農業共済再保険
- 廃止(廃止)
- 森林保険
- 廃止(廃止)
- 漁船再保険及び漁業共済保険
- 検討中(廃止)
- 食料安定供給
- 検討中(廃止)
- 貿易再保険
- 廃止(廃止)
- 特許
- 廃止(廃止)
- エネルギー対策
- 存続(廃止)
- 交付税及び譲与税配付金
- 検討中(存続)
出所:民主党
