米アップルが、プライムセンス(PrimeSense)というイスラエルの新興企業を買収したと複数の海外メディアが報じている。この企業はカメラやセンサーを使って人の動きを感知する、3Dモーショントラッキング技術を手がけている。
米マイクロソフトのゲーム機「Xbox(エックスボックス)」には身振りでゲームを操作できるコントローラー「キネクト(Kinect)」があるが、プライムセンスはこの製品の初期モデルに技術を提供していた企業だ。
クックCEOの狙い、iPhoneはあくまで高級路線
プライムセンスの設立は2005年で、本社はテルアビブにある。報道によると、今年7月にアップルの幹部が同社を訪れ、買収交渉を始めていた。
当初の買収提示額は2億8000万ドルだったが、その後の交渉で金額が約3億5000万ドルに変更され、このほど協議がまとまったとのことだ。
米ウォールストリート・ジャーナルは、アップルは今後プライムセンスの技術をパソコンの「マック」」やスマートフォンの「アイフォーン」、タブレット端末の「アイパッド」、あるいは現在開発中との観測が流れているテレビ「iTV」に採用する可能性があると伝えている。
だが、現在のところ同社がこの技術をどう使うのか具体的なことは分かっていない。そうした中、米フォーブスは、今年9月にアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が話した内容に注目し、同社は主力のアイフォーンとアイパッドの機能を拡充し、今後も両製品の高級路線を貫くのではないかと伝えている。
同誌によると、クックCEOは「安物」のスマートフォン市場には関心がないのだという。
市場には、様々なことを実現できる製品が求められるセグメントと、そうではない製品のセグメントがあり、クックCEOが他社と競争したいと考えているのは前者だという。後者については「私はなんら心配しない。なぜなら我々の市場ではないからだ」と断言している。