米国の市場調査会社IHS傘下のアイサプライによると、米アップルが発表した「アイパッドミニ(iPad mini)」の新製品「レティナ(Retina)ディスプレイモデル」は、ディスプレイパネルの供給が不足しており、この10~12月期における同モデルの出荷台数は前年実績の3分の1程度にとどまる見通しだという。

 同社が部品のサプライチェーン(供給網)を調査したデータによると、新型アイパッドミニ用のディスプレの出荷個数は10~12月期に400万個を下回る見込みで、300万個弱となる可能性もあるという。

アップルが発売時期を明言しなかった理由

 同社によると、アップルが昨年11月2日に発売したアイパッドミニの初代機は同年10~12月期に890万台が出荷された。この初代機に対する需要はそれより上回っていたため、アップルは今年初頭に多くの受注残を抱えていた。

アップル、新タブレット2機種を発表

「アイパッドエア(Air)」(右)とレティナディスプレイモデルの「アイパッドミニ」〔AFPBB News

 アイサプライは今回の2世代目アイパッドミニにも初代機と同様の需要があると見ており、今年における需要と供給のギャップは昨年以上になると予測している。

 アップルは今年10月22日に米サンフランシスコでイベントを開き、今回の2世代目アイパッドミニと、その上位機種である9.7インチ型「アイパッドエア(Air)」を発表した

 この時アップルはエアの発売日を11月1日と発表したが、ミニについては「11月中」と曖昧だった。その理由がミニ用ディスプレイの供給不足にあるとアイサプライのアナリストは指摘している。

 アイサプライによると、アップルは現在生産能力を拡大し、需要に応えようとしている。だが高精細レティナディスプレイは歩留まりが低く、生産量がそれほど伸びない。またミニの新しいシステム設計が起因し、生産上の課題が生じている。これにより、本体の生産はディスプレイのそれよりも大幅に遅れている。