スマートフォン販売の低迷に歯止めがかからないカナダのブラックベリーを巡っては、複数の企業が同社買収の買い手候補として名乗りを挙げたと言われているが、今度は中国のパソコン大手、レノボ・グループ(聯想集団)が買収を検討していると伝えられた。
米ウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディアによると、レノボはブラックベリーと秘密保持契約を結び、買収提案を行ううえで必要となる財務情報を確認中だという。
IBMのPC事業買収で成功、今度はスマホで成功狙う
レノボはメディアの取材に対してコメントを控えているが、先頃同社の楊元慶・最高経営責任者(CEO)がインタビューに応じ、「パソコンとモバイルの業界の統合は今後も進む」としたうえで、「目的や(買収)取引がレノボの戦略と一致していれば、我々はその機会を捉える」と述べていた。
この発言はブラックベリーに言及したものではないが、かつて米IBMのパソコン事業を買収し、事業を急拡大した同社は、スマートフォンでも同様の手法で拡大を狙っているのではないかと言われている。
一方のブラックベリーは、今年8月に身売りの可能性も含めた「戦略的選択肢」を模索すると発表。これにより会社の売却、他社との合弁事業、戦略的提携の可能性などを検討するための特別委員会を設置した。
そうした中、9月に発表した6~8月の決算は、純損失が9億6500万ドルに膨らんだ。同社では、1年以上かけて開発した基本ソフト(OS)「ブラックベリー10」を搭載した初のスマートフォン「Z10」を今年1月末に発売したが、売れ行きが芳しくなく、この決算で同端末の評価損を計上している。
またブラックベリーはその1週間前に、法人と技術に精通した一部の消費者に顧客を絞った事業に注力するという方針を発表。これに伴い全従業員の約40%に当たる4500人を削減する計画を明らかにした。
一方で同社は10月にカナダの投資会社フェアファックス・フィナンシャル・ホールディングスを中心とする企業連合に全株式を売却することで基本合意した。だが報道によると約47億ドルというその買収金額を巡って資金調達面で疑問が浮かび上がっており、先行きは不透明だという。
同社の身売りや資産の一部売却については、米シスコシステムズ、米グーグル、ドイツSAP、米インテル、韓国サムスン電子なども買い手候補に挙がっており、ブラックベリーは10月初旬にこれら企業に対して買収に関する関心を表明するよう要請したと伝えられている。