市場調査会社の米ガートナーと米IDCは9日にそれぞれ世界パソコン市場の調査リポートを公表した。それによると、今年7~9月期の出荷台数(速報値)はいずれも前年割れとなった。

前年割れ、6四半期連続、日米では法人向けが回復

 ガートナーの調査では前年同期比8.6%減の8027万台。前年割れは6四半期連続で、こうした前年割れが続く期間は過去最長。また同社の北川美佳子主席アナリストによると、この四半期の出荷台数は7~9月期として2008年以降最も低い水準という。

 一方IDCの調査では、出荷台数が8160万台、前年同期から7.6%減で、この減少率は事前予測値である9.5%を下回った。当初は前の四半期からの低迷が続いていたが、9月に入って法人向け製品が持ち直した。また米マイクロソフトが10月18日に発売するウィンドウズ8の改良版「8.1」搭載パソコンの流通網への出荷が進み、若干の改善が見られたという。

ウィンドウズ8.1、10月18日に発売 マイクロソフト

米国ではウィンドウズ8搭載製品の品揃えが充実してきたという〔AFPBB News

 ただし、これは米国と日本のパソコン市場が比較的堅調だったというだけで、ほかの地域ではまだ回復は見られていない。

 IDCによると、米国ではウィンドウズ8搭載製品の品揃えが充実してきたことや、ウィンドウズXPからウィンドウズ7への移行が改善に寄与した。日本は引き続き消費者の需要が抑制されているが、ウィンドウズXPのサポート終了に伴う買い替えや、円安、景況感の改善などが市場回復を支えたという。

 ガートナーによると7~9月における米国の出荷台数は1610万台で1年前から3.5%増えた。これに対し欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域は2240万台で同13.7%減、アジア太平洋地域は2810万台で同11.2%減と、いずれも2ケタ減になっている。

アジアではタブレットとスマホの影響色濃く

 IDCがまとめた7~9月期のメーカー別世界出荷台数を見ると、中国レノボ・グループ(聯想集団)が前年同期比2.2%増の1413万台で首位を維持した。2位は米ヒューレット・パッカード(HP)で同0.4%増の1399万台。3位は米デルで、同0.3%増の951万台。

 この後、台湾エイサー・グループの546万台、台湾エイスーステック・コンピューター(ASUS)の420万台と続いた。エイサーとエイスーステックはそれぞれ同34.5%減、同34.1%減と大きく減少している。