市場調査会社の米ガートナーが10日に公表した世界パソコン市場の調査リポートによると、今年4~6月期の出荷台数(速報値)は7600万台となり、1年前の同じ期間から10.9%減少した。前年割れは5四半期連続。こうして前年割れが続く期間は、これまでで最も長いという。

すべての地域で落ち込む、欧州は2ケタ減

世界のパソコン出荷台数、過去最悪の落ち込み

米マイクロソフトのタブレット型PC「サーフェス」〔AFPBB News

 別の調査会社である米IDCも同日、リポートを公表しているが、こちらの出荷台数は7560万台、1年前から11.4%減という結果だ。

 統計の取り方に違いがあり、両社の数字は多少異なるがパソコン市場がいまだ回復していないことに変わりはないようだ。

 ガートナーによると、4~6月期は世界のすべての地域で出荷台数が落ち込んだ。アジア太平洋地域と、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域はともに5四半期連続の減少となり、このうちEMEAは2ケタ減が2四半期続いた。

 タブレット端末やスマートフォンの普及が進む中、パソコン市場の構造が変化しており、今回の調査結果でそのことがあらためて明らかになったというわけだ。ガートナーは今年1~3月期のリポートで出荷台数が8000万台を切るのはほぼ3年ぶりのことと報告していたが、この4~6月期もこの数字を下回っている。

レノボ、HPを抜いて首位に、積極的な市場開拓が奏功

 ただし、メーカー別の出荷台数を見ると、中国レノボ・グループ(聯想集団)が唯一その影響を受けていないことが分かる。

 メーカー別のランキングを見ると、1位はレノボで、これに米ヒューレット・パッカード(HP)が続き、このあと米デル、台湾エイサー・グループ、台湾エイスーステック・コンピューター(ASUS)の順となっている。IDCによると、HPは2006年末以来首位を守り続けてきたが、この4~6月期についにその座を明け渡した。

 ガートナーのデータを見ると4~6月期の出荷台数はHPが1240万台。これに対しレノボは1267万台とわずかに上回る程度。

 だが、両社の1年前に比べた出荷台数の変化は、HPが4.8%減なのに対し、レノボは0.6%減にとどまっている。業界全体が10.9%減少していることを考えると、レノボは横ばいと言える水準だと米ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。