1 はじめに

 最近の中・韓両国の日本に対する狂信的な対応には辟易せざるを得ない。しかしながら、能々考えてみれば、中・韓両国のかかる対応によって日本がまさに変わりつつある(と感じるのは小生のみではあるまい)。作用に対する反作用とも言うべき現象が起きつつある。

 変わりたくとも変わり得なかった日本が変わりつつあり、そういう意味においては中・韓両国に感謝しなければならない。有難う、中国、そして韓国よと。

2 最近の中国及び韓国の反日行動概観など

(1)韓国の狂的な反日活動

竹島に上陸した李明博前大統領

 李明博大統領の竹島上陸が、ターニングポイントだったのではないか。政権末期のレームダック状態であった大統領が起死回生の愚策として選んだのが、歴代大統領が、本音では日韓関係の重要性を理解していたがゆえに越えたくとも越えられなかった日韓関係の一線である「竹島上陸」であった。

 朴槿恵(パク・クネ)大統領の就任に伴い、大半の期待を裏切り、反日が鮮明になり、中・韓協商が濃厚となった。日本との非妥協的政治姿勢で、首脳レベルの会談に応じず、接触すらも避けている。 

 ロビー活動や米国韓国人社会を通じての慰安婦像の設置を行い、あまつさえ、韓国出身の国連事務総長はその矩を超えてしまう。それが国内向けパフォーマンスだとしても、そのセンスを疑わざるを得ない。

 対馬の寺から盗まれた仏像2体について返還すべきが国際ルールと発言した韓国文化体育相の正論が国内で批判を浴びたり、旭日旗の使用を禁止する刑法改正案(朝日新聞は韓国での活動ができなくなるのではないかと余計な心配をしたくなるが・・・)を与党議員が提出したりなど、信じられない狂信的な行為が続く。

 東京五輪招致潰しを意図したとしか思えない日本の水産物輸入禁止措置など、正気の沙汰とは思えない。まともな国家のやることだろうか?

 中国人の靖国神社放火犯の引き渡しをソウル高裁が拒否するなど、法制度もなききがごとしで、常軌を逸している。三権分立など糞くらえ、国民におもねる政治的司法判断だ。

 法と正義はどこに行ったのだろうか?

 仏像返還問題や元徴用工への個別補償判決など、国際法も条約も何もない、あるのは育ち過ぎた反日無罪を叫ぶ国民に迎合する政治的な判断だけだ。

 韓国では、育て過ぎた“反日(無罪)”が既に制御不能状態であろう。心ある人は臍を噛んでいるのではないか?

 日・米・韓の分断を狙う中国の策略に乗ぜられて中国にすり寄り、共同歩調を取らんとする本意は、華夷秩序に基づき、中国の支配下(朝貢国)に入ることを是とするということだろう。

 韓半島の防衛にとって日本列島の存在がいかに重要であるかは自明だ。韓国を防衛する米軍は日本列島に展開・日本から出撃し、日本の後方支援を受けるのは朝鮮戦争の史実に照らしても明らかである。

 韓国は、日本の協力なしに自国防衛を全うできるとでも思っているのだろうか? 自国の地政学的地位を全く認識しておらず、歴史無視も甚だしい。

 まだまだこのような反日的行為は継続されるだろう。否、むしろさらに過激化するのではないだろうか?

 朴大統領の支持率が下がり、苦境に陥れば陥るほど、反日を煽ることになるのだろう。

(2)中国の執拗な対日攻勢

 中国の反日活動が過激さを増したのは、昨年8月、香港活動家尖閣諸島上陸事件以降であり、さらにその過激さは、9月11日の尖閣諸島を国有化以降さらに増している。もちろん、それ以前においても愛国無罪を叫ぶ暴徒による各種の妨害や破壊、顰蹙を買うような非常識な行為があったが、国有化以降にはその過激さが目立つ。

尖閣諸島付近に飛来した中国の無人機と見られる物体

 国有化を閣議決定した9月10日以降、日本人への暴行事件も起きている。

 暴動と化したデモは、大使館に狼藉を働き、日章旗を燃やし、日系スーパーや食堂などを破壊し、商品を略奪し、放火さえも行った。

 これらのデモは、燎原の火のごとくに全国に広がり始め、その過激さが反政府に向かうことを恐れた政府は、反日デモを抑制をし始め、デモは次第に沈静化した。

 これらの反日暴動で破壊された日本企業への補償はおろか、暴徒への処罰・責任追及すらも行われていない。在外公館などの安全確保の責任を有するにもかかわらず、それを放棄し、在外公館への暴動をも黙認しているとしか受け取られない行為は許されない。中国のデモは官製デモであると断言していいのではないだろうか。

 9月18日は、満州事変の発端とされる満州鉄道爆破事件=柳条湖事件が起きた日であり、中国では国辱の日とみなされており、例年大規模な反日デモやサイバー攻撃が予想されるのであるが、本年は全くそのような気配はなかった。これは当局がデモ等を抑制したからであろう。

 愛国無罪を標榜する暴動デモは、中国人民を怒らせると、真っ当な商活動はできないぞ、日本企業を潰すのは簡単だ。中国と貿易をし、中国で商活動をして、利益を得たいのであれば中国政府の主張を認めよと恫喝しているに等しい所業だ。チャイナリスクは極めて大きい。

 某日本企業の社員が中国当局にスパイ容疑で拘束された事件があったが、同様な事件はいつでも起こせるし、起きるものと覚悟すべきだ。

 さて、尖閣問題に関する直接的な圧迫についてもその過激さが際立つ。

 尖閣への圧力を加えるために海上警察機関などを統合した海警局の船舶によるたび重なる領海侵犯や接続水域の航行は目に余る。尖閣諸島の国有化以降1年間に、中国公船の接続水域での航行は常態化し(延べ1065隻)、領海侵入も述べ63日、216隻に上った。ほぼ6日に1回という高い頻度である。

 これに対する、海上保安庁は奔命に限界に達しつつあり、中国側は日本国民の中に無力感が漂うのを待っているとしか思えない。中国機に対する航空自衛隊機によるスクランブルも急増している。

 本年1月末、東シナ海において中国人民解放軍海軍のフリゲート艦が、海上自衛隊の護衛艦に対して火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)を照射した事件が起きた。まかり間違えば、一触即発の状況だ。

 また、昨年12月と今年6月には、尖閣諸島付近で中国軍の無人機とみられる機影が目視されたが、実体は不明とされた。本年9月9日、自衛隊機が緊急発進し決定的な場面を捕捉し、無人機であることが裏づけられた。日本は新たな問題を抱え込んだのである。

 中国の海洋活動はさらに活発化し、初の空母「遼寧」を進水させ、第1列島線を越える海域での訓練を活発化させ、さらには最近では第3列島線という概念まで持ち出す始末だ。

 日本に対する直接的な攻撃(?)と言ってもいいのが、サイバー攻撃であろう。中国が真犯人と断定は出来ないとしても、その嫌疑は極めて濃厚だ。

 2011年以降、衆・参議員のID、PW(パスワード)が流出し、三菱重工業などへのサイバー攻撃、各省庁等のホームページの改竄など頻繁なサイバー攻撃を受けているが、その発信源はほとんどが中国であるとの指摘がなされている。

 民間のハッカー集団「紅客連盟」、人民解放軍総参謀部第3部(総要員13万人の通信諜報活動部隊)であるとも、その隷下部隊である海南島所在の陸水信号部隊(隊員1100人)とも言われている。

 東シナ海日中中間線付近のガス田問題についても、中国の傍若無人ぶりはとどまるところを知らない。先にガス田開発に乗り出したのは、中国であり、2004年に「白樺」、翌年には「樫」の掘削を開始した。

 2008年には日中共同開発を合意するも、合意をほごにし、交渉に応じていないばかりか、その交渉停滞の責任を日本に擦り付けている。本年7月には、中国国有大手の中国海洋石油などが東シナ海の7つのガス田の開発申請を行うとの外国報道機関の報道もあり、一方的な開発姿勢を改める気配は毫もない。

 中国首脳の日本無視の対応は相変わらずだ。存在しない棚上げ合意をあるがごとくに言い募り、時に恫喝的言辞すら吐く。日本に尖閣領土問題の存在を認めさせるべく、涙ぐましい努力をしているとしか思えない。

 新体制発足間もない中国においても、韓国同様、国内的な要因が大きいのだろう。日本こそ、とばっちりを受けて迷惑だ。