われわれはいま、ソーシャルメディアやスマートフォンによって、いつだってつながりに満たされていると考えている。

 四六時中、手元のスマートフォンひとつで人とつながれる。人はひとりじゃ生きられないし、孤独も苦手だ。だからこそ、いつだって人とつながれることは素晴らしいことだと。

 フェイスブックにランチの写真を投稿すれば、すぐにいいね!やコメントという形の反応がある。友達の新しい投稿を目にすれば、すかさずいいね!を押す。

 読んだ本の感想を、アマゾンのリンクをつけてツイッターに投稿すると誰かがリツイートしてくれる。そんな誰かの投稿は、自分もリツイートする。

 LINEを使えば、まるで会話のように言葉のキャッチボールができる。スタンプを使えば、時に言葉なんかよりもコミュニケーションが円滑になる。

SNSユーザーは、「Connected, but alone?」

 SNSユーザーの1日あたりのSNS利用時間は78分という調査リポートもあるが、その利用時間はこれからしばらくの間、長時間化する傾向が続くとみている。実際、フェイスブックやツイッターに朝から晩まで相当数の投稿をしている人も少なくない。

フェイスブックで幸福感は上がらない、米大研究

フェイスブックを利用する若者たちは他人とのつながりは強く感じているが幸福感は低いとの調査結果が8月14日、米オンライン科学誌「プロスワン」に発表された〔AFPBB News

 人には人とのつながり、コミュニケーションは不可欠だ。デジタルテクノロジーがこれに対して多大なる貢献をしていることは、もはや言うまでもない。

 ソーシャルメディアやスマートフォンによって、われわれはどれだけたくさんのつながりやコミュニケーションの機会を得られているか、計り知れない。たくさんの人が、そのことを実感している。

 そんな矢先、「そのつながりによって、あなたは本当に孤独から逃れられていますか?」と水を差されたとすれば、みなさんはどう感じるだろうか。

 マサチューセッツ工科大学教授の心理学者であるシェリー・タークルがTEDで行った、ソーシャルメディア社会のつながりに関する印象的なプレゼンテーションがある。そのタイトルは、まさに「Connected, but alone?(つながっていても孤独?)」だ。

TEDは、価値のあるアイデアを世に広めることを目的とするアメリカの非営利団体。「技術(Technology)」「エンターテインメント(Entertainment)」「デザイン(Design)」をはじめ、様々な分野における最先端の人々がプレゼンテーションを行うカンファレンスで知られる。