マット安川 ゲストに前防衛副大臣の長島昭久衆議員を迎え、日本の安全保障問題や米国から見た安倍政権の分析、日米安保条約5条6条の重要性などお聞きしました。
現在の日米関係は絶好調
衆議院議員。慶應義塾大学大学院修了、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)修了。米シンクタンクの研究職を経て、2003年衆議院議員に初当選。民主党政権では、防衛大臣政務官、内閣総理大臣補佐官、防衛副大臣を歴任。(撮影:前田せいめい、以下同)
長島 民主党政権時代に日米関係がおかしくなったことについては反省しています。ただ、野田(佳彦)前総理はオバマ大統領とかなりいい関係を築くことができ、日米関係を修復しました。私も何度もアメリカに行きました。
外交問題、特に防衛については民主党政権から自民党政権にうまくつながっていると思います。いま日米関係は絶好調だと断言できます。
安全保障、外交に与党も野党もありません。あるのは国益だけです。ですから、安倍(晋三)政権の評価すべき点は評価します。例えば、日本版NSC(国家安全保障会議)や秘密保護法、集団的自衛権の行使などに私は大賛成です。野党ですが、同僚にもきちっと説明し、説得して支持していきたいと思っています。
安倍首相は必要以上に中国、韓国を刺激してはいけない
しかし、安倍政権の気になる点もあります。例えば先日、国連総会のために訪米した安倍総理のニューヨークでの演説です。たぶんノリノリだったんでしょうが、必要以上に中国や韓国を挑発しました。
自分は右翼と呼ばれてもいいというような発言は、すぐに中国が噛みついていましたが、これでは批判の応酬になってしまいます。確かに日本人として腹の立つこともたくさんあります。しかし一国の総理ですから、そこは品格を持って穏便にお話しされるのが本来あるべき姿ではないかと思います。
中国は日本の動きを非常に注意深く見ていますから、言葉にしなくても、やるべきことをきちっと積み上げていけば警戒します。
安倍総理の発言について、確かにこれまで言うべきことを言わなかったから、中国につけこまれてきたという部分はあります。
例えば、東シナ海のガス田開発問題も、日本は4半世紀も中国の動きを見て見ぬふりをしてきた。北朝鮮による日本人拉致問題も、最初はないと言って認めてこなかったという経緯がある。やるべき努力をきちっとしてこなかったということで、本当に日本外交の失態だったと思います。