中国政府の2012年における原子力分野での、国際共同事業と国際交流について、このたび中国側の資料により、その活動状況が明らかになった。以下はその概要である。

 中国は、IAEA(国際原子力機関)などの国際機関、多国間、2国間の世界的な国際交流を活発に繰り広げている。その活動内容から、中国の原子力産業が軍事用も含めて、今後成長を遂げる可能性が大きいことが示唆されている。

 相手方の諸国も、中国側の要求に対し、特に欧米は、商業ベースでの取引には、安全保障上支障のない範囲で積極的に応じているのが実態である。またロシアは軍事転用が可能と見られる分野にまで踏み込み、韓国は対中接近姿勢を見せている点が注目される。

1.  原子力の安全義務の履行

(1) 4月4日から16日の間、ウィーンのIAEA本部において、「核安全(nuclear safetyの意。核施設の事故及び放射能による人体や環境への被害の防止など)についての条約」に関する第5回審議総会が開催され、中国は議長国として参加した。

 中国環境保護部(部は日本の省に相当)副部長兼国家原子力安全局長の李干傑が代表団を率いて代表として総会に出席した。

 中国は今回の総会の議長国であった。福島の事故についての中国としての国家報告をIAEA事務局に提出するとともに、国家報告について陳述し、関連質問に対しても回答、大会参加者の一致した好評を獲得した。

(2) 厳格に核拡散防止と「核保障(nuclear securityの意。核関連物質等の盗難、横流し、不正使用等による被害の防止、核施設、核関連物質の警護など)」監督義務を履行した。核拡散防止と「核保障」監督に関し要求された業務を厳格に実行した。IAEAの委員会に対して調整力を発揮し、協調的活動を行うよう意思疎通を図った。

 また、核関連の貿易についての国際ルール、中国が責任を負うべき国際的義務、国家政策の法規等について、主動的に国内関係機関に対し啓発指導した。関連部門に対する管理上の要求の達成を支援し、国際的な核関連の貿易問題の解決についても関連部門が一体となり協力するよう指導した。

 ただし、中国の国益と企業利益を堅固に守りぬけるように、積極的ではあるが穏当に発展させるとの戦略をもって取り組む。