バンクーバー新報 2013年5月30日22号
バンクーバー市内、587ウエスト・キングエドワード・アベニューに建つ“お菓子の家”が286万ドル(約2億8000万円)で売り出され、話題になっている。
まるでおとぎ話に出てくるようなこの家の前には観光バスが立ち寄ることも多く、最近ではファンタジー小説『ホビットの冒険』(映画『ロード・オブ・ザ・リング』の前章)のヒットから、英語で『ホビットハウス』とも呼ばれている。
2416平方フィートに2ベッドルーム、ノースショアの山々を見渡すデッキのあるこの家は、ロス・ロートの設計で1941年に建築家ブレントン・リーが建てたもの。これと似たデザインの家がバンクーバー市内にもう1軒と、ウエストバンクーバー市に1軒ある。
カナダラインの駅から半ブロック。キャンビー通りに近いこの周辺では土地開発業者による一軒家の買収ラッシュが行われており、この家が建つブロックも4階建て複合住宅建築のためのリゾーニング認可が市から下りている。
元家主の遺族により売りに出されたものだが、波打ったような独特の屋根の張替えには約1000万円が見積もられるなど、家の維持には修理費がかさむのも事実。
歴史的・文化的遺産と建築価値が評価され1986年にヘリテージハウスBランクに指定されたものの、『取り壊し厳禁』という絶対条件がないことから、新オーナーによる取り壊しを懸念する声が高まっている。
取材 ルイーズ阿久沢
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