世界はワールドカップで盛り上がっている。我らがニッポンは初戦のカメルーン戦で着実に勝ち点3をゲット。先日のオランダ戦では惜敗したものの、24日(日本時間25日午前3時半)のデンマーク戦で勝つか引き分けに持ち込めれば、2大会ぶりの決勝トーナメント進出が決まる。
ブラジルが優勝したら社員全員に給料1カ月分のボーナス!
筆者も北京の空から祖国の健闘を祈っている。
北京の地はワールドカップ一色で染まりあがっている。学生から社会人まで、勉強も仕事も手につかないようだ。
案の定、北京大学では「期末試験の時期に入った。学生諸君ワールドカップで頭がいっぱいのようだが、観戦もほどほどに留めるように。勉強を疎かにしてはいけない。夜更かしも禁物だ」などの指令が出ている。
多くの会社が出勤時間を平時の9時から10時半にずらしている。筆者の知人で、有名コンサルティング会社の社長は大のブラジルファン。彼は従業員にこう伝えている。
「ブラジルが勝った翌日は休日とする。仮にブラジルが優勝したら全員に給料ひと月分のボーナスを払う」
テレビ、新聞からネットまでワールドカップ一色
さすがに笑ってしまったが、このあたりに中国人特有のユーモラスというか、フレキシビリティーが体現されているような気がする。
マスコミの熱狂振りも半端ではない。テレビ、新聞からネットメディアまで、この時期はワールドカップで一本釣りという様相だ。ほかの番組や企画は原則後回し、ワールドカップの犠牲者と化している。
中国中央電子台(CCTV)のプロデューサーは言う。「この時期はだめだ。視聴率含め全部ワールドカップに持っていかれちまった」
筆者も犠牲者の一人として言わせてもらおう。最近『伊豆から北京へ』という本を出版した。7年前、何も持たなかった1人の少年が北京という異国の土地に飛び込み、ぶつかってきた道のりの内側を描いた。