北米報知 2013年3月14日12号

 日本人留学生に向けてスタートアップビジネスを教えているクラスがある。シアトルから世界を変える若者を輩出することをコンセプトに、毎週水曜日ワシントン大学で行われている「セカイクリエイター」という講義だ。受講者は12名ほど。シアトルの各大学の日本人留学生が参加している。

セカイクリエイターの受講生と関係者。写真提供=Megumi initiative

 3カ月のコースには毎回、当地起業家がゲストスピーカーとして呼ばれ、起業するまでの道のりや実際のビジネスモデルを聞く事ができる。

 参加者は実際にビジネスプランを考えたうえでのアドバイスも受けることができる。単なる受け身の講義ではなく、ゲストスピーカーに自由に質問し、発言することができる。

 クラス内は3 つのチームに分けられ、各チームごとにビジネスプランをつくり、授業毎に各企業家にフィードバックをもらう。最終日には弁護士に計画を法律的な側面でチェックしてもらい、実際にビジネスとして成立するか見てもらう実践的なプログラムだ。

 「米国に経済を学びにくる日本人留学生が多い反面、実際に米国のビジネスコミュニティーを持つことが難しいことに加え、日本の企業も著しく減少していることを懸念しています。それらを取り戻すために(プログラムを)始めました」とクラスを運営する非営利法人「Megumiinitiative」のスティーブン・ヒロシ・サカナシ代表(27)は語る。

 同団体は昨年6月に設立、ビジネス・ソーシャル・英語の側面から日本人留学生を支援する。セカイクリエイター以外にも、毎週木曜日に開かれる日本人とネイティブスピーカーの交流会「Tursday Party」、毎週月曜日にワ大で開く日本人とネイティブスピーカーによる会話クラス「Eigo cafe」、オンライン会話プログラム「Eigo partner」がある。

若いリーダーを輩出したい

 カリフォルニア出身。父親が日系三世、母親は日本出身というサカナシさんだが、幼少時は日本語を使う機会に恵まれなかったという。きっかけとなったのは18歳の時、父親を失ったときと明かす。

 「(家族が)日本人の母親だけになったときに、半分は日本人にも関わらず日本の事も知らなければ日本語も話せない。自分は一体何者なんだという気持ちに襲われました」