スウェーデンのメーデーの様子

 5月1日、市内の広場で開催されたメーデーの集会に、子供たちと出かけた。

 「労働者の祭典」と言うだけあって広場は多くの人でにぎわい、アメや風船を子供に配る人、マイクでがなり立てる人、ビラを配って歩く人、袋や箱を持って寄付を募る人、さらには大道芸人も登場し、やはりお祭り的な雰囲気だ。

 小都市なので、かなりの確率で知り合いに出くわすし、初夏の日差しの中で立ち話をしたり、その家族とも顔なじみになれたりするのも楽しい。

 しかし、参加する人数は年々少なくなっている。型通りに集会に参加しデモの隊列に加わるのは、一般的な労働者というよりは、どちらかというと一定の高い政治意識を持つ知識層とか中産階級だ。工場やスーパーで働くような、いわゆる「労働者」と呼ばれる人たちは、メーデーという休日にはゆっくりと体を休めてのんびりと過ごしている。

 集会後のデモも楽しい。子供たちもうきうきと隊列の最後尾につき、普段は車が飛び交う市内の大通りを全面的に遮断し、シュプレヒコールを叫びながら堂々と練り歩く。各人が掲げるプラカードは「ガザ封鎖を止めよ」「福祉と教育にもっとカネを」「シリアへの軍事介入を許すな」など様々だ。

 デモの最中に9歳の長女とはぐれ、探し回って見つけたとたんにワンワン大泣きされるというハプニングもあった。

「新たな戦争の始まり」

 広場には全身と顔にも金色のペイントを施し、ロボットに扮した大道芸人も立っている。彼の前に小銭を置くと、カクカクと動いてお辞儀をしたり手を振ってくれたりする。4歳の次女が面白がり、私に何度も1クローナをせがんで彼の前に置き、ロボットが動くと手をたたいて喜んだ。

全身金色の大道芸人はポルトガルから来た

 午後も遅くなり、彼が商売道具をしまおうとしているところで、ちょっと話しかけてみた。彼は昨年、ポルトガルからスウェーデンに来たという。

―― 何でわざわざスウェーデンに来たんですか?

  「ここにはまだ仕事があるかと思って」

―― ポルトガルは、やっぱり大変ですか?

 「大変なんてもんじゃない。こんなひどい状況になるとは、1年前には想像もつかなかった。家賃が払えない、食べ物も買えない家族が何万といる。教会や慈善団体に食べ物を分けてもらったりしているんだけど、恥ずかしいから近所には分からないように、皆こっそりやっている」