4月29日、小野寺五典防衛大臣とヘーゲル米国防長官がワシントンで会談した際に、ヘーゲル長官から、2013年夏、在沖縄海兵隊へ12機のMV-22B「オスプレイ」が配備されることが公式に通知された。

 (もっとも、この第2陣の配備は、沖縄の第3海兵遠征軍が使用している老朽化したヘリコプターの交換であり、2012年夏に第1陣の新旧交代のためのオスプレイ12機が岩国基地経由で普天間基地に配備された際には、すでに第2陣の交換配備は予定されていたため、単なる“確認”でしかない)

 これに対して、沖縄の有力紙はじめ一部のマスコミや日米同盟分断勢力は、「オスプレイの安全性」に加えて騒音や飛行ルートに関する“約束違反”といった論点を追加して、第2陣オスプレイの配備に反対する動きを開始した。

 そして、第2陣オスプレイが岩国基地に一旦揚陸されて普天間基地に飛行して配備される日程が迫ってくると、再び“オスプレイ恐怖症”の宣伝を繰り広げて反対キャンペーンを展開するものと思われる。

オスプレイは輸送機である

 2012年夏、オスプレイ恐怖症が蔓延した際に、筆者は「オスプレイの安全性」ではなく「オスプレイの日本の国防にとっての必要性」に関する理解が欠かせない、と繰り返し指摘した(「JBpress」2012年7月20日8月14日10月12日、『海兵隊とオスプレイ』並木書房、など)。

 その後、尖閣諸島を巡る日中対立が激化してきたため、「海兵隊がオスプレイを手に入れると、沖縄から尖閣諸島どころか中国本土へすら短時間で出動可能であるため、中国にとっては脅威的存在となり、日本にとっては頼もしい抑止力になる」といった論法で、オスプレイの必要性が説明される場合が少なくないようである。このように理解しても「オスプレイの在沖縄海兵隊への配備は日本の国防にとって必要である」という筆者の結論と合致しはする。しかしながら、本質的に「オスプレイはなぜ日本の国防にとって必要なのか」という議論の本質を理解したことにはならない。

 上記のような説明では、あたかも尖閣諸島で日中軍事衝突が発生し、アメリカ政府が軍事介入に踏み切った場合には(このような前提自体、甚だ問題点が多いのであるが)、普天間基地からアメリカ海兵隊第31海兵遠征隊“尖閣奪還上陸チーム”がオスプレイに乗り込んで尖閣諸島まで急行し、中国侵攻軍を撃破するといったイメージを与えかねない。