安倍政権の産業競争力会議(成長戦略を議論する会議)において、医療では以下のようなことが検討されています。

 「疾病の種類に応じて自己負担を変える、例えば風邪の場合は自己負担7割」

 「自己負担の“最低”限度額を設定し、少額な治療費は全額患者の自己負担」

 「軽度のデイサービスは全額自己負担、デイケアは3割負担」

 「(医療)市場の拡大が財政負担とならないように保険制度のあり方を見直す」

 「介護予防や軽症者へのサービス、中重度の上乗せサービス(例えば配食サービス)は民間保険(自己負担)でカバーする」

 「規制撤廃により保険外併用療養費のさらなる範囲拡大」

 他にもあるのですが、これら検討されていることは全て “医療の公的負担を減らし、民間に任せる”(=自己負担で受けてもらう)以外のなにものでもありません。

 私たちは、「求める医療を、いつでも好きなところで、お金の心配をせずに自由に受けられる」ことがもはや幻想だと気づいて、現実としっかり向き合う心構えをすべき時期なのではないでしょうか。

低所得者は良質な医療が受けられなくなる

 検討項目中の「風邪の診療の7割負担」や「軽症の病状の場合の診療費全額自己負担」は分かりやすいかと思いますが、「規制撤廃により保険外併用療養費のさらなる範囲拡大」の部分は多くの人にとって分かりにくいかと思われます。

 そこで、保険外併用療養が拡大された後で、大腸がんが見つかり手術を受ける場合を考えてみましょう(あくまで架空の例です)。病院の説明はこうなります。

 「今回の大腸がん手術ですが、通常の開腹手術であれば保険範囲内で50万円、実際の負担額は高額療養費制度により10万円になります」

 「オリンパスとソニーが共同開発した最新鋭の手術機材を使用して手術する場合は、腹腔鏡手術のもと、がん転移の可能性のあるリンパ節をより正確に切除できます。しかし、こちらは保険外併用療養となり、手術代金は自己負担分150万円が加わって合計で160万円になります」