マット安川 議員になる以前からTPPの問題点を指摘していた浜田和幸参議を迎え、交渉参加や現在の問題点について伺いました。なによりいまの日本に、議員でも官僚も、この交渉ができる人材がいるのか、という根本の指摘が印象的です。

TPPは自由貿易協定ではなく、米国の基準を世界に広めるための仕掛け

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:浜田和幸/前田せいめい撮影浜田 和幸(はまだ・かずゆき)氏
参議院議員。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、2010年参院選にて鳥取県から立候補し当選。2011年、総務大臣政務官、外務大臣政務官兼東日本大震災復興対策推進会議メンバーを経て、現在、国民新党幹事長(兼代表代行)(撮影:前田せいめい、以下同)

浜田 今回の安倍(晋三)総理の訪米そのものはよかったと思います。ただ、TPP(環太平洋経済連携協定)について、日本の立場をどこまでオバマ政権に納得させられる交渉ができたのか。安倍総理は、オバマ大統領と信頼関係を築いたというようなことをおっしゃっているけれども、たった1回の話し合いでそんなことまで言っていいのかと思います。

 TPPの結論は、オバマさんが下すのではなく、アメリカの議会が決めるわけです。ですから議会の影響力のある人たちと意見交換するなどしないと、あまり簡単にこれだけ成果があった、信頼関係ができた、大丈夫だと言えるほど国際交渉は簡単にはいかないと思います。

 そもそもTPPに関するアメリカの文書には、「自由貿易」「フリートレード」なんていう言葉は1つもないんです。

 アメリカのスタンダードを世界に広める、ビジネスのやり方そのものを自分たちに優位な形で展開するための仕掛けとしてTPPを位置づけていることは歴然としています。自国のための交渉という筋が一本通っている。

 日本はそこのところをきちんと理解し、こちらも自国の国益をしっかり守るという立場で交渉に臨まないといけない。

 与党の中でもいろいろ意見が分かれているし、産業界でも輸出産業と農業分野では真っ向から対立している。そういう分断された状況で国際交渉を有利に進めるというのは簡単な話ではありません。オーストラリアやニュージーランドだって、自分たちの権益を守りながらアメリカと厳しい交渉をしています。

政府はTPPの中身について詳細な情報を開示せよ

 TPPについては、情報も不足しています。安倍総理は交渉に参加していないから、ほかの国がどういう情報を持っているかを含めてよく分からないというようなことをおっしゃる。