ニッケイ新聞 2013年1月23日
コロニアが育んできたブラジル野球が世界の檜舞台に――。
今年3月に開催される野球世界選手権『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』に初出場が決まっているブラジル野球代表の登録メンバーが先週末発表され、メンバー28人中11人が日系選手であることが分かった。
3月2日から始まる本選では二連覇中の日本代表との対戦も決まり注目が高まる。第3回大会にして初出場となるチームについて、パウリスタ野球連盟の沢里オリビオ会長に聞いた。
昨年11月に行われた予選で同組だったパナマ、コロンビア、ニカラグアの3チームは全て世界ランキングで格上のチーム。沢里会長は予選初参加のブラジル代表が勝ち抜いた理由の一つに「日本への野球留学生の増加」を挙げた。
現在のチームには、栃木・白鴎大学出身で、日本のプロ野球・東京ヤクルトスワローズに所属する金伏ウーゴらを筆頭に、日本の高校・大学野球経験者が多数在籍している。内野手の奥田ペドロ(米・シアトル・マリナーズ傘下)は、2008年に埼玉・本庄一高の主力として甲子園の舞台にも上がった。
「日本への留学が増え始めたのは7、8年前から。ブラジル人的な良さを持ちつつ、緻密な日本野球を学生年代から叩き込まれている『両方の要素を持つ』世代の台頭が、チームのレベル向上に繋がっているのでは」というのが沢里会長の分析だ。
沢里会長はチームに向けて「1次リーグは強豪が揃う厳しい組み合わせだが、きっと良い試合となる。本大会で日本代表と戦えるなんて夢のような展開。頑張って欲しい」とエールを送った。
ブラジル代表が出場する本選1次リーグA組は3月2日から福岡で始まり、5日までに日本、キューバ、中国と対戦する。
【投手】ダニエル・ミッサキ(ニッポン・ブルージェイズ)、仲尾次オスカル(白鴎大学)、吉村健二(ヤマハ)、ラファエル・モレノ(ボルチモア・オリオールズ傘下)、ケスレイ・コンドウ(ユタ大学)、ガブリエル・アサクラ(カリフォルニア州立大学)、金伏ウーゴ(東京ヤクルトスワローズ)、アンドレ・リエンゾ(シカゴ・ホワイトソックス傘下)、ラファエル・ファルナンデス(東京ヤクルトスワローズ)。エルネスト・チャコン(アチバイア)、チアゴ・ビエイラ(シアトル・マリナーズ傘下)、ムリロ・ゴウベイア(ヒューストン・アストロズ傘下)
【捕手】平田ブルーノ(東芝)
【内野手】ルーカス・ロジョ(フィラデルフィア・フィリーズ傘下)、フェリペ・ブリン(シアトル・マリナーズ傘下)、田中マルシオ敬三(JR九州)、奥田ペドロ(シアトル・マリナーズ傘下)、レオナルド・レジナット(タンパベイ・レイズ傘下)、ヤン・ゴメス(クリーブランド・インディアンス)、松元ユウイチ(東京ヤクルトスワローズ)、ファニョニ・アラン(NTT東日本)、佐藤二郎(ヤマハ)、イアゴ・ジャヌアリオ(タンパベイ・レイズ傘下)
【外野手】曲尾マイケ(所属なし)、パウロ・オルランド(カンザスシティ・ロイヤルズ傘下)、ジュアン・カルロス・ムニス(マリリア)、チアゴ・マガリャンエス(グアルーリョス)、ジェアン・トーメ(アチバイア)(敬称略、順不同)
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