「潔癖」な国、日本のミネラルウォーター事情

ミネラルウォーターと水道水の真実(前篇)

2013.02.15(Fri)漆原 次郎

佐々木 日本の多くのミネラルウォーター類に共通しているのは、「軟水である」ということです。

 水には、軟水と硬水があります。1リットルあたりで、カルシウムのミリグラム量を2.5倍した数値と、マグネシウムのミリグラム量を4倍した数値を足した数値が硬度となります。硬度が100(ミリグラム/リットル)未満の水を軟水と言います。

ミネラルウォーター類。2011年の国産品と輸入品のシェアは、81.4%対18.6%。(参考:日本ミネラルウォーター協会統計、財務省関税局日本貿易統計)

 つまり、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルをあまり含まない水が軟水です。飲んだときに舌にすっと溶けていくような感覚のあるのが軟水と表現できます。日本のミネラルウォーター類の多くは、硬度50ぐらいの軟水です。

 一方、欧州などの外国から輸入されるミネラルウォーター類の多くは、硬度が100以上~300未満の中硬水か、300以上の硬水です。例えば、みなさんもよく口にする「エビアン」は硬水の分類となります。口の中で水がころころとするような感覚があるのが硬水と表現できます。

日本では殺菌処理しても「ナチュラル」

──他にも、国産品と輸入品のミネラルウォーター類には違いはありますか?

佐々木 日本で作るミネラルウォーター類は、濾過殺菌の処理に加えて、加熱殺菌の処理を施しています。これは「ナチュラル」と付く、ナチュラルミネラルウォーターやナチュラルウォーターにも当てはまります。この点は、殺菌処理をしない欧米の製品と異なる点です。

 本来の言葉の意味からすれば、加熱処理を施せば微生物を殺すことになるので、殺菌処理した水は「ナチュラル」と言えないという見方もできます。実際、国際的なガイドラインを決めるにあたり、米国などと日本で論争になり、結果、国際的には「ナチュラルは非殺菌処理」となりました。ただし、日本国内では「ナチュラルでも殺菌処理」ということで通っているのです。潔癖であることを重視する日本人の国民性を反映しているとも言えそうです。

 では、加熱処理をすることで、ミネラル分に影響があるのかというと、カルシウムの量が若干は減るものの、それ以外はあまり影響しないということが分かっています。あまりミネラル分に影響しないのだから、加熱殺菌をしようと日本のメーカーの多くは判断しているわけです。

 対して、欧米では「ナチュラル」な水に炭酸を入れて炭酸水にすることで、微生物を抑えるといったことをよくしています。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る