「潔癖」な国、日本のミネラルウォーター事情

ミネラルウォーターと水道水の真実(前篇)

2013.02.15(Fri)漆原 次郎

海洋深層水の「弱点」とは

──「海洋深層水」もボトルに入って売られているのを見ます。これはどのような水でしょうか?

佐々木 一般的には、深さ200~300メートルほどの海水を言います。深いところにあるため、産業廃水や生活排水の影響をほぼ受けず、また、太陽光線が届かないので光合成をする植物性プランクトンの増殖も抑えられます。

 とはいえ、海洋深層水も海水、つまり塩水ですので、そのまま飲めるわけではありません。多くの場合は、海から汲み上げたうえで、真水と塩などのミネラルを分けようとします。そして、真水の方に、新たにナチュラルミネラルウォーターを加えて、ミネラル分を添加するのです。多くの海洋深層水はこうして作られます。

 ただし、しょっぱさを取り除いて真水にしようとしても、やはり海水が原料であるため、海洋深層水ではナトリウムの含有量がナチュラルミネラルウォーターより平均で3倍ほど高いのです。腎臓を患っている方や、高血圧の方にとってナトリウムは“敵”ですので、海洋深層水を日常的に飲むことは避けた方がよいでしょう。

 海洋深層水は、殺菌性が高く、海洋深層水で豆腐を作ると日持ちが良いといったことも言われています。その一方で、2004年に調査した結果では、海洋深層水14例中、先ほど紹介した尺度で「おいしい」に属したのは2例のみでした。ミネラルウォーター類よりもマグネシウムの含有量が平均して20倍高いといったことが私どもの調査で明らかになっています。

「おいしさ」に関わる慣れの問題

──ミネラルウォーター類の安全性について、どう考えたらよいでしょうか?

佐々木 日本で作るミネラルウォーター類には、殺菌処理が施されますので、その点では安全と言えると思います。

 一方で、輸入品の大部分を占める欧州のナチュラルミネラルウォーターでは殺菌処理が行われていませんが、水源があらゆる汚染から完全に隔離、保護された地下水であることは定められています。

──では、おいしさはどうでしょう? どのような水を選べば、私たちは「おいしい」と満足できるのでしょう?

佐々木 これには“慣れ”の問題が大きく関わってきます。もし、軟水を飲み続けていれば、親しみある軟水をおいしいと感じます。

 硬水でも同じことが言えます。日本でよく飲まれるミネラルウォーター類が硬度50ぐらいであることからすれば、ミネラル成分が程々の軟水をおいしく感じる人は多いとは思います。

(後篇に続く)

【訂正】記事初出時に「ペリエ」を炭酸を入れて炭酸水にするものと記述していましたが、「ペリエ」は天然の炭酸水でした。訂正いたします。(2013年2月15日)

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