1月11日、最高裁判所は「薬のネット販売を一律に禁じた厚生労働省令は違法」との判決を下しました。これを受けて通信販売サイトの「ケンコーコム」などは医薬品のネット販売を再開しました。

 一方、日本薬剤師会はこれに対して「インターネットによる医薬品の販売は匿名性が高く、国民の安全および 医薬品の適正な選択・使用を揺るがしかねない」として、薬剤師からの対面販売での購入の重要性を訴えました(日本薬剤師会の見解)。

 利便性を旗印に薬のネット販売の解禁を主張する推進派と、安全性に問題があるとして対面販売を訴える慎重派の議論は5年以上前から続いています。しかし、これまで双方の主張は歩み寄ることがなく、平行線をたどるだけした。

 今回の判決を受けて、「薬のネット販売解禁推進派に軍配が上がった。ネット時代なのだから安全策を徹底したルールの構築をすべし」といった内容の報道が多く見受けられます。

 しかし私は、薬のネット販売を解禁するかしないかという議論は“薬の安全使用”という意味では決して問題の本質ではないと思うのです。

販売は1日中だが問い合わせの受け付けは限られた時間だけ

 今のところ、薬を対面販売した場合よりも、ネット販売した場合の方が副作用の発生率が高いというデータはありません。

 対面販売の方がネットより「副作用の説明を十分にできる」、だから「副作用を早期に発見できる」という可能性はあります。しかし対面販売も、実態は通り一遍の説明しかしていない場合が多いのです。文書での情報提供が必要な第1種医薬品についても、実に6割の人が口頭だけの説明を受けて購入しているのが現状です(「平成22年度一般用医薬品販売制度定着状況調査について」)。