前回は中国メディアの「好戦的」報道を取り上げた。この種の論評は一部の軍人や中国版「ネトうよ」などに限られ、共産党本流の方針とは異なるらしい、というのが結論だった。そこで今回は、解放軍軍人が過激な発言を繰り返す真の理由について考えてみたい。
タカ派軍人の強硬発言
日本のメディアも人民解放軍関係者の対日強硬発言には強い関心があるようだ。この種の好戦的発言は過去数年間だけでもかなりの量に上る。本稿ではごく最近報じられた例のみをいくつかご紹介したい。
●国家安全政策委員会副秘書長の彭光謙少将は、中国メディアで「日本が曳光弾を1発でも撃てば、それは開戦の一発を意味する。中国はただちに反撃し2発目を撃たせない」と述べた(2013年1月14日)
●軍事科学学会副秘書長の羅援少将は、「私たちは戦争を全く恐れていない。一衣帯水と言われる中日関係を一衣帯血にしないように日本政府に警告する」と発言した。(同年1月15日)
●軍事科学院の任海泉副院長は、「第2次大戦の教訓を顧みない人が、戦後の国際構図に挑んでいる」「ファシスト国家が付けた戦火が多くの地域に燃え広がった」「オーストラリアのダーウィンにも爆弾が落とされた」などと述べた。(2012年10月29日、於メルボルン)
解放軍高官とは誰のことか
1月17日付ロイター中国語ウェブ版は、人民解放軍の「高官の好戦的発言」が「言論が統制されている中国」において「政治外交に大きな変化が生じたこと」を示唆しているなどと報じている。
でも、ちょっと待ってほしい。そもそも「軍高官」とは一体誰のことを指すのか。
調べてみたら、以前彭光謙少将は日米軍事演習や日本の軍事戦術について語っている。羅援少将も昨年尖閣諸島について書いている。
軍人として彼らがどの程度優秀かは知らないが、これらを読む限り、彼らの国際情勢や国際法に関する知識はお粗末としか言いようがない。