地名が間違っている、情報量が極端に少ない、などと批判が多い米アップルのモバイル地図アプリ「Maps」は、これまでで最も深刻な問題を引き起こしてしまったようだ。

iPhone地図アプリ「命に関わるから使わないで」、豪警察が警告

アップルの地図アプリ〔AFPBB News

 オーストラリア、ビクトリア州の警察当局は12月10日、同州の国立公園で道に迷って立ち往生する車が相次いでいるとして、ドライバーにこの地図アプリの使用を中止するよう呼びかける声明を出した

 アップルの地図アプリでは、ビクトリア州北西部のミルデュラという人口3万人ほどの町が、マレー・サンセット国立公園の中に表示されていた。

 州警察によると、この町に向かった人が国立公園の中に入った後、自力で出られなくなったという事態が相次いでいる。

 ドライバーからすればミルデュラに着いているはずなのだが、実はそこは国立公園の真ん中。警察が確認したところミルデュラはそこから70キロメートル離れていたという。

灼熱の砂漠で車が立ち往生、24時間後の救出

オーストラリアのビクトリア州ミルデュラとマレー・サンセット国立公園

 このマレー・サンセット国立公園とは、東西約100キロメートル、南北50~100キロメートルに及ぶビクトリア州で2番目に大きな国立公園。

 そこには水道もなく、携帯電話の電波も届かない。またオーストラリアは現在夏季で、この中では気温が46度に上昇することもある。

 つまり、そこは灼熱の砂漠のような場所。道路は砂に埋もれているため、車が動かなくなることがよくある。警察に救助された人の中には、水も食料もない状態で、電波のつながる場所を探し求めて24時間歩いた人がいると警察は発表している。

 メディア報道によると、このような事故は警察が確認しただけでも4件あり、アップルのサービスが始まる前には起きなかった。