パソナグループ代表の南部靖之氏をゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス 』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。南部氏が若者の就職や雇用問題について語ったほか、パソナグループが淡路島で展開する新しい取り組みなどについて紹介した。
「女性の就職不安を払拭したい」その思いが起業のきっかけに
中山 今回は、兵庫県神戸市ご出身でパソナグループ代表兼社長の南部靖之さんにお話を伺います。
南部さんといえば、ソフトバンクの孫(正義)氏、エイチ・アイ・エスの澤田(秀雄)氏と並んで「ベンチャー三銃士」と称されますが、どんな学生時代だったのですか。
南部 孫さんも澤田さんも私なんかよりずっと立派な方ですよ(笑)
私は学生時代、優秀でなかったことだけは確かです。あまり勉強せず、旅行が好きでインドやネパール、ミャンマー、タイに何カ月もかけて行ったり、タンカーに乗って台湾を訪れたりしていました。今で言うバックパッカーのようなことをやっていましたね。
それで、就職難という大きな壁にぶつかったんです。大学4年の夏を過ぎ、友達はほとんど就職先が決まっていましたが、私はどうも就職活動というものがピンとこなかった。
その頃からようやく大阪や神戸の企業を回り始め、業種やメーカー等は考えずに大きな看板のビルを見つけては飛び込みました。当時は今と違って私のような若者が受付へ行っても快く案内してくれたし、落ちると分かっていても中に入って話を聞くことができたんです。
企業の人事部は繁忙期になると大体遅くまで残業します。だから深夜に電気のついている部署を訪れるんです。
多くの学生は就職が決まっている時期ですから、担当者も憐れんでくれて、関連グループ会社を紹介していただいたりと色々と気にかけてもらいました。それでもなかなか上手くいきませんでしたが・・・。
中山 それが起業のきっかけとなったのですか。
南部 私も苦労しましたが、それ以上にあの頃は女子大生が大変だったんです。
当時の大卒女子の就職率は14%ほどでした。企業に入っても昇進・昇格もなければ昇給もない、いつも同じ仕事をして役職にも就かせてもらえない女性たちが非常に多かった。
さらに、結婚や出産で仕事を辞めた女性は、子育てを終えて職場復帰しようとしてもほとんど無理に近かったのです。
そうした女子大生や主婦が、好きな時に好きな時間帯や期間で働き、独身時代に身につけた技能を生かして収入を得られるようにしたい。そう思い、ベンチャーを起こしたのです。
まだ若かったし、儲けようとかビジネスで成功しようというよりも「助けてあげたい」「皆で一緒に頑張ろう」という気持ちの方が強かったと思います。