マット安川 石原都知事辞職の報から一夜明けた26日、ゲストに政治評論家・浅川博忠さんを迎えて、今後の政局をこれまでの流れとともに解説していただきました。

石原都知事、最後の執念で悲願の首相を狙う

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:浅川博忠/前田せいめい撮影浅川 博忠(あさかわ・ひろただ)氏
政治評論家としてテレビ・ラジオ、週刊誌などで政治解説、コメンテーターを務める。『小沢一郎 独走す』(東洋経済新報社)、『政権交代狂騒曲』(講談社文庫)など、著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

浅川 石原(慎太郎、東京都知事)さんが衆院選に出馬することになりましたが、彼は参議院議員時代から総理大臣になりたいという思いが非常に強かったんです。ただ、当時の自民党は田中(角栄、元首相)派と竹下(登、元首相)派が支配していて、そこから睨まれていた。

 田中派や竹下派が幅を利かせている間は総理になれないため、25年務めた国会議員を辞めた。東京都知事というのは、考えようによっては総理に次ぐくらいの地位だから、いったん都知事になり、竹下派の力が弱まるのを待って、再び中央政界に復帰して総理になろうというシナリオを描いていたんです。

 ところが、その後の自民党は小泉(純一郎)政権が5年5カ月と長く続くなどして、本人には焦りがあった。そしてこの秋、自分の息子(伸晃、自民党前幹事長)がひょっとしたら総裁から総理になる可能性が出てきたけれども、本命視されながらも総裁になれなかった。

 そこで年内解散もあるかもしれない中で、本人は80歳という年齢も含めて今回、満を持して次期衆院選に名乗りを上げたわけです。しかも非常に分かりやすい構図なのは、石原さんにとって、大阪の橋下(徹)市長という格好のパートナーがいることです。

 東の横綱の石原と、西の横綱の橋下という東西の両横綱が永田町を挟み撃ちにして、既存政党批判や中央官庁の役人批判をやると非常にメリハリが利く。よきパートナーがいるうちに新党をつくろうと。

 選挙の結果、第3極が過半数を取れば石原総理が誕生するかもしれない。今回の行動は、その最後の執念の表れです。

民主党の選挙先送り戦略で石原新党、日本維新の会、自民党は先細りに

 しかし一方で、民主党は輿石(東、幹事長)さんのみならず野田(佳彦)総理も、自民党の谷垣(禎一)前総裁と約束した「近いうち」の解散を反故にして、来年夏の衆参ダブル選挙に持っていこうとしています。

 選挙を先送りするということは、皮肉なことに、石原新党や橋下さんの日本維新の会が先細りになってくることにつながります。