ニッケイ新聞 2012年9月26日
ファースト・フードならぬ、次の流行は米国式の「ファースト・カジュアル」?―。ここ数年の中産階級の増加に伴って可処分所得がふえた影響もあって、食材を販売するスーパーマーケットなどの小売業と比較して、すぐに食べられてより手軽な外食サービスの方が成長加速しており、過去10年間は毎年平均15%も成長していると22日付フォーリャ紙が報じた。
ブラジル食品工業協会(Abia)によれば2011年、外食産業(レストラン、バール、ランショネッテ、スーパー内の軽食スタンドなどを含む)は2350億レアルの収益を上げ、前年比16%増を記録した。今年は12%以上成長すると予測されており、全体の経済成長が低速ぎみの中、好調な波に乗っているようだ。
その証拠としてパン屋、菓子屋、レストラン、ブッフェやケータリング(顧客が指定する場所に出向いて食事を配膳、提供するサービス)など外食産業に従事する人の数は200万人近くに上り、全国でレストランは34万カ所、バールは46万カ所もある。
また、食品業界専門のコンサルティング会社「ECD」のエンゾ・ドンナ氏によれば、伯国ではサンドイッチ店チェーンが絶好調だという。
昨年は13%、今年は5月までで20%の収益増を記録しており、急激な伸びを見せている。店の数も、昨年の3181から今年は3981、2013年は4818、2014年は5609まで増えると予想されている。
また、先週聖市で開かれ、約100人の企業家が出席した米国のコンサルタント会社による講演会では、現在米国ではファースト・フード(注文してすぐ食べられる手軽な軽食)から発展した「ファースト・カジュアル」が主流になりつつあるとの話があった。
ファースト・カジュアルとはファースト・フードとファミリーレストランの中間の新業種で、米国では過去5年11%成長しており、外食業界で最も伸びている業態だ。提供する食べ物はファースト・フードと同等だが、若干高価格で注文からの時間は長い。サービスはより丁寧で、ファースト・フード店よりリラックスして長く過ごせる雰囲気にしている。
伯国のレストラン関係者の間では、このファースト・カジュアルはブラジルでも成功すると見込まれているようで、米国高級コーヒーチェーンのスターバックス・コーヒーの進出に倣うケースも増えてきそうだ。
ちなみに、講演を行った市場調査会社「テクノミックス」のパトリック・ノーン氏、ダラン・トリスターノ氏によれば、ヨーグルトのフローズン・アイスクリーム、カップケーキ、高級コーヒーに続いて、エネルギー飲料、ミックスティー、クラフトビール(地ビール)などが流行の兆しにあるのだという。
注:聖市=サンパウロ市
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