コンピューター大手の米ヒューレット・パッカード(HP)は6月1日、今後数年かけて法人向けITサービス部門で、全従業員の3%に当たる9000人を削減すると発表した。

 これに併せて同部門のデータセンター事業を自動化し、生産性を高めるという。これらにかかる費用は10億ドルだが、この計画が完了すれば年間で最大7億ドルのコスト削減が見込めるとしている。

ITサービスは業界全体で伸び

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米ヒューレット・パッカード、9000人削減へ〔AFPBB News

 今年2~4月期における同社の売上高は308億ドルで、1年前の同じ時期に比べ13%増となった。このうちパソコン事業が21%増加して100億ドルとなるなど好調で、企業のIT支出の回復を背景に7四半期ぶりに2桁の増収増益となった。

 しかし法人向けサービスは2%増の87億ドルと小幅な伸びで、為替の影響を除いた場合は3%減少した。業界トップの米IBMの同事業も前年同期比4%増と小幅増、為替の影響を除いた場合は2%減少している。ITサービスは業界全体で伸び悩んでいる。

 大企業などにコンピューティング機能を提供するこうしたサービスは、電子メールのシステムやデータの遠隔保存、企業ネットワークなどの用途で使われている。行政サービスの受付処理や、航空会社の予約システムといった業務もこなしている。

 HPにとっては総売上のほぼ3分の1を占める重要なビジネス分野であり、2008年に136億ドルを投じて買収した米EDSの事業を中核とする部門でもある。

 HPはこれまでの約1年半、EDSと自社業務の統合作業を行ってきた。「作業はほぼ完了し、今後は収益拡大に注力できる」とサービス部門責任者のアン・リバーモア氏は話している。

 各種インフラ技術を組み合わせ、ソフトウエアによって運用されるフルオートメーションのデータセンターを作るという。