なんといってもそれまでは、検索エンジンが目的のウェブサイトへアクセスするための起点としての圧倒的な主役を担ってきた。
特定のウェブサイトへ辿り着くためには、たいていのユーザーは検索窓にそのサイトを連想させるキーワードを入力する。それが最大のトラフィックを生む源であった。ところがフェイスブックが大量のユーザー数を抱えるようになる中で、まさかの事態が起きた。
フェイスブックに投稿されたコンテンツの多くには友人とシェアしたい情報を掲載しているサイトのリンクが含まれている。そのリンクがクリックされ目的のサイトへのトラフィックが生まれる。そのトラフィック量が検索のそれを脅かすほどに大きくなったことは、検索エンジンにとってはまさに青天の霹靂だった。
トラフィックの主導権だけではなく、検索エンジンにとって厄介だったのはユーザーの投稿を検索対象にできなかったことだ。
グーグルは創業当初から、ウェブ上にある全ての情報を整理するというミッションを掲げ、さらにはウェブ上にあるものだけではなく世界中にあるデジタルな情報をウェブにアップして検索可能なものに置き換えるよう努めていた。
しかしフェイスブックの中のユーザーが生み出す無数の投稿を検索の対象とできないことは大きな誤算で、グーグルなどの検索エンジンはそれに大きな焦りを感じた。ましてやフェイスブックの投稿の多くは、リアルタイム性の高い、フレッシュな情報だ。それらを検索の対象から取りこぼすのは許容し難い。
ちなみに、フェイスブックのユーザー数が5億人を突破したのが2010年7月。それから今日に至るまで、ユーザー数はおよそ2倍にまで成長したのだから、検索エンジンにとってのジレンマは日に日に増大していたに違いない。
“検索対ソーシャル”の構図に一石を投じた Yahoo! Japan
こうした背景から考えると、今回の Yahoo! JAPAN とフェイスブックの連携の意味合いの大きさを再認識できるのではないだろうか。
もちろん、検索対象はあくまでもフェイスブック上の全公開設定の投稿に限定されている(ゆえにユーザーにとっては投稿の公開範囲の設定がますます重要になった)。また、これだけでトラフィック源としての主導権争いの決定打になるとは言えないにせよ、ツイッターと併せて2大ソーシャルメディアを検索できる日本で唯一のサービスとなった Yahoo! JAPAN のソーシャル化は注目に値する。
