マット安川 初登場となる若手国際法学者のキム・ヘギョンさんを迎え、日本、韓国、アメリカほか各国の在住経験や、日韓間で問題となっている国際法のポイントなどを伺いました。

韓国は国際法の認識が低い。竹島問題は日韓双方が歩み寄りを

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:金恵京/前田せいめい撮影金 恵京(きむ・へぎょん)氏
国際法学者。明治大学法学部助教、早稲田大学博士(国際関係学専攻)。1975年、ソウル生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程で国際法によるテロリズム規制を研究。その後、ローファームMorrison&Foester勤務を経て、ジョージ・ワシントン大学国際関係学部専任講師。2010年、ハワイ大学東アジア学部客員教授に就任し、現在に至る。著書に『テロ防止策の研究――国際法の現状及び将来への提言』。(撮影:前田せいめい、以下同)

 竹島問題、韓国にとっては独島ですが、日韓両国がお互いに100%自分の領土だと認識しています。

 相手の歴史資料や解釈はすべて間違いで、自分の方が正確だと主張している。私は研究者として、それらの資料を実際に見ていないので、どちらが正しいとは言えませんが。

 韓国は、日本が主張している国際裁判所への付託について耳を傾ける必要があります。韓国も国際司法裁判所(ICJ)に行くことは考えているかもしれません。ただ、ICJの所長は今年2月まで皇太子妃(雅子さま)の父親である小和田恒さんが務めていらっしゃいました。

 小和田さんは現在もICJの裁判官です。ICJの裁判官に日本人が1人いる一方、韓国人はいません。ですから韓国は公正な裁判が行われるのかを問題視するとともに、すごく怖がっているわけです。

 実際のところ、韓国人は国際法の認識が高くありません。私もずっと韓国だけで勉強や研究をしていたら、たぶん今の考えには至っていなかったと思います。

 韓国では、竹島の問題に関するマスメディアの報道も、ただ歴史的に我々のものだ、と主張するだけで終わっています。では、国際法上はどうなっているのかをメディアは説明していません。ですから韓国の国民、特に若者はそういう報道を通して、竹島は韓国のものだという認識を持っています。

 そして、なぜ国際司法裁判所に行かなければいけないのかという疑問で終わっている。それは韓国のよくないところだと私は思っています。

 一方で日本側は、韓国がなぜ感情的に激しく竹島を自国の領土だと主張しているのか、歴史的な背景を多少なりとも理解する必要があるでしょう。そうでなければ、この問題は100年、200年かかっても解決しません。