中国は満州国時代の首都・新京(現吉林省長春市)にあった皇帝の居城を偽皇宮あるいは偽満皇宮と呼ぶ。同様に満州国を偽満州国と呼ぶ。中国人がつくったものでないと偽物にし、権力者たちの統治に都合がいいように歴史や事象・事件を仕立てることを繰り返してきた。

 近年の毒餃子事件、四川大地震、北京オリンピック、尖閣沖漁船衝突事案、高速鉄道事故、そして尖閣諸島国有化に伴うデモを見ただけでも、報道の自由はなく、人民の生命財産は無視し、国家権力で反日行動を採らせていることが分かる。

 民主主義国の通念から言えば、現在の中国こそが権力あって人民なしの「偽国家」である。

日本人ツアーも洗脳

中国の反日デモ、日系企業に操業停止の動き

尖閣諸島国有化で沸き上がる中国の反日デモ〔AFPBB News

 長春にある偽皇宮博物館では、必ず現地の中国人が説明するようになっている。

 壁に貼付した歴史年表を見ながら、日本はこんな悪いことをしたと語り、首から下を切り落とした旧軍将帥の顔を寄せ集めた額縁写真を指し示しながら説明していく。

 直後の食卓テーブルではツアー参加者の間から、日本はあんなにも悪いことをしたのかという声が飛び交い、中国が怒るのはもっともだというような話になっていく。

 いたたまれず、(筆者が)話半分に聞いた方がいいと言っても、現地人から刷り込まれた印象は強烈で、中国の目論み通りである。こうした自己正当化は、尖閣諸島の領有権に関する中国首脳の発言や外務省報道にも受け継がれている。

 中国の若者に対する愛国心教育はすごいという話はよく聞くが、加えて日本人ツアー客までも洗脳しているのである。

 外務省や所管官庁は、企画する旅行社に危険情報ばかりでなく、反日感情の強い中国や韓国(以下中国中心に記述する)ツアーに参加する人にはこうした実態を周知するよう指導することも必要ではないだろうか。

 せっかくの外国旅行で国際社会に対する見聞を広め、日本との比較で自他の良さ悪さを知ることも大切であるが、日本を貶める話がちりばめられ、日本は何と悪い国だろうと単純に信じてしまっては元も子もない。

 現在に続く日中の軋轢は、1921年に米国が主導して日英同盟を破棄させ、中国に利権を持つ英国を牽制し、他方で日本を閉じ込めるために作り上げたワシントン条約体制(主力艦比率を米英50万トンに対し日本30万トンとした海軍軍縮条約や、中国の領土保全を決めた9カ国条約など)に端を発する。